近年、医療の充実などでペットの寿命も伸びていて、高齢化したペットの支援体制が課題となっています。そうした中、青森県弘前市のドッグサロンがシニア期にあたる7歳以上の犬向けのサービスを5月から始め、注目を集めています。

■ペットにもシニア特有の悩み 注目集めるシニア犬向けサービス
家族同然のペット、その動物たちにも訪れるのが年を重ねることによる衰えです。犬のシニア期は7歳以上。これは人間の年齢でいうと、一般的には小型犬は約44歳、大型犬は約55歳にあたるとされています。

人間と同様に体力の衰えや認知症などの症状が出やすく、放置していると介護が必要になります。こうしたシニア特有の悩みを少しでも解消しようと、弘前市のドッグサロン、「FULFILL(フルフィル)」は5月から新たなサービスを始めました。

その一つが、飼い主へのカウンセリングです。この日は、13歳のトイプードル、チョコちゃんの飼い主が相談に来ました。
※認定動物看護師 工藤香代子(くどう・かよこ)さん「どうですか、最近家での様子は?」
チョコちゃんは右後ろ足の靭帯を損傷し、手術を受けていて、飼い主は世話の仕方を悩んでいました。

※工藤さん「片方は手術をしているから、もう片方のことを考えると、土・草の上を歩くのはコンクリートを歩くのより負担は断然少ないので、選んで歩かせてあげればいいけど。走るのは極力控えた方がいい」
※飼い主「けがが治って走っていると喜んでいたんですけど、だめなんですね」
※工藤さん「そうですね、だめ。絶対いけないことではないけど、控えた方が」
カウンセリングのほかにもう一つ、新たに始めたのがシニア犬のデイサービス。犬を預かるだけではなく、足腰が弱らないようバランスボードなどを使って、体幹や筋肉を鍛えています。シニア犬向けのサービスは青森県内では珍しく、評判は上々です。

※FULFILL 田中明里 代表
「暮らしの中で困ったなというところで頼れる場所があるという風に思ってもらえるともっと暮らしやすくなるし、ワンちゃん自体も何かあった時に安心して過ごせる場所があるっていうのは、すごくワンちゃんにとってもメリットだと思うのでそういうところもサポートしたいと思います。」

■ペットも高齢化時代~伸びる犬の平均寿命~ 年齢にあった愛犬との接し方
こうした取り組みの背景にあるのが犬の高齢化。ペットフード協会の調べでは犬の平均寿命は、2021年は14.65歳で、医療の充実などによりこの10年で0.78歳、人間でいうと約3歳伸びたことになります。高齢化による老化を少しでも予防できないのか…。こうした思いのもと、このドッグサロンでは認定動物看護士が脳を活性化させる遊びを指導しています。

※認定動物看護士 工藤香代子(くどうかよこ)さん
「シニアになると、どうしてもいろいろなことへの興味が薄れてくるので、こういう場所に来て、犬としての欲求充足できるように、遊びとして提供できればいいと思います」

※認定動物看護師工藤さんの指導風景「タッチねー、そう。一個あげましょう、右手から。上手」
ドッグサロンでの時間は飼い主にとっても愛犬への接し方を見直すいい機会になっているといいます。
※飼い主は
「犬への接し方がすごく変わったと思います。ただ、かわいいといままではしてたんですけど、犬の気持ちをわかっているようでわかっていないと思いましたなんかあった時は聞けるなっていう心強さがあります」

※FULFILL 田中明里 代表
「身近に頼れるスキルと知識を持ったプロがいてつながりがある、犬も家庭だけで育てるんじゃなくて、地域とつながりあいながら、万が一何かあった時にもサポートとなるつながりがある状態で育てていくのが一番いいと思います」
ペットも高齢化が進んでいる今、一緒に楽しく過ごせる時間を増やすためには愛犬への年齢にあった接し方を学んでいくことが大切になっていきそうです。

弘前市のドッグサロンFULFILLのシニア犬向けサービス、カウンセリングは50分間で3000円、デイサービスは状況にあわせて実施するので、まずは電話で問い合わせてほしいということです。