2025年実用化、日本発の技術を日本製で活用へ

――ロールに塗っていくので、シリコンウエハを1枚1枚焼いていくよりは、技術さえ確立すれば製造コストが安くなると。

積水化学工業 森田健晴氏:
量産で、今のシリコンと同じぐらいの量が出るようになってきたときに、単位面積当たりの作れる量、あるいは単位時間あたりに作れる量は圧倒的に増えていくのではないかなと思います。

――今は30センチ幅で、これをいずれ1m幅で印刷できるようにするそうだが。

積水化学工業 森田健晴氏:
もう既に工場にメーター幅の装置を入れており、25年に向けて製造技術を確立しようということで。

――発電効率が20%、15%と聞くとずいぶん低いなと思うのだが。

積水化学工業 森田健晴氏:
従来のシリコンの太陽電池がアカデミックなレベルの小面積で25~26%。最高効率で言うとペロブスカイトもほぼ追いついたと。

――2025年の実用化には自信があるか。

積水化学工業 森田健晴氏:
今は国のグリーンイノベーション基金をいただいてプロジェクトをやっているのですが、技術確立を25年までに何とかしようと。25年にまず30センチ幅で製品化して事業をスタートしようと。同時にメーター幅の量産で一気に世の中に広げていこうというのが、目指す姿です。

――光や水に弱く耐久性に問題がある。これは致命的なのではないか。

積水化学工業 森田健晴氏:
本当に致命的で、私どもが最初にこのペロブスカイトをやるかどうかを決めたポイントでもあるのです。効率は非常に高いのはわかっているのですが、耐久性がとにかく弱いと。材料とプロセスの両方をいろいろ改良して使えるようにしたということで、これはいけるぞと。

――今後の課題は?

積水化学工業 森田健晴氏:
大事なポイントとしては、これを世の中に広げていこうとしたときに、今までのシリコンの太陽電池と全く使い方が違うのです。付け方に前例がないものですから、我々作る側だけではなくてお客様側としっかりそこをやっていかないと。せっかく軽いのだから、もっと簡単に。

――今屋根につけているシリコン製の太陽電池の代わりになろうと思うのではなく、それではできないところを狙っていこうと。

積水化学工業 森田健晴氏:
まさにその通りで。特にカーボンニュートラルに向けて面積の大きいところにどんどん置いていって、それによってコストは当然下がってくると思います。

――どういうところが狙い目か。

積水化学工業 森田健晴氏:
公共エリアでイメージできるのは、駅や鉄道の周辺です。空港の周り、海辺にもたくさん置くところがあります。

――原料のヨウ素が国産というところも大きい。

積水化学工業 森田健晴氏:
大きいですね。今までいろいろな電子デバイスも含めて、海外に頼らないといけないところが多かったのですが、ペロブスカイトの場合は主要原料を国内でまかなえるというところが非常に大きな強みです。

――太陽電池は元々日本が技術開発していながら、今は中国製がほとんどを占めている状況だ。今度も中国に取られないか心配だ。

積水化学工業 森田健晴氏:
技術的な情報セキュリティの問題はもちろんなのですが、我々が一番気になっているところは今まで技術では勝っていても、事業にするときに投資力とか技術以外のところで負けているということ。特にエネルギー問題になってくると安全保障が関わりますので、そういう影響が大きいと。今経産省中心に一緒に相談させていただきながら、しっかりやろうと。

日本発の技術に大いに期待したい。

(BS-TBS『Bizスクエア』 7月22日放送より)