■丹羽隆文さん                                           
「むせて飲めなかったお茶を供えて、ずっと今まで我慢してましたけど、この9年で初めて涙が出ました。今日もし魂がそこに残ってるんだとしたら、俺が連れて帰るぞと、あのときは別でしたから。今日は連れて帰りますので一緒です」

愛知県の所清和(ところ・きよかず)さん。

次男の祐樹(ゆうき)さんと婚約者の丹羽由紀(にわ・ゆき)さんを亡くしました。

2人が亡くなった場所を初めて目にすることができた所さんは、現場の石垣の前に当時2人が履いていた靴を並べヒマワリの花を捧げました。

■所清和さん
「やっと亡くなった場所に行けた。それで、連れて帰れる」

手を合わせた後、祐樹さんの靴に履き替え、リュックに由紀さんの靴を入れゆっくりと下山しました。

■所清和さん
「この靴は祐樹の靴だから祐樹におんぶされて(由紀さんが)帰っていく。そばまで行けて行けなかったというのがやっぱり一番つらかったというか苦しかった」

王滝村が29日に予定している登山道の規制緩和については、行方不明者がまだ残っているとして被災者の家族らでつくる「山びこの会」の事務局は複雑な心境を明かします。

■山びこの会事務局代表 シャーロック英子さん                                「ここまだ、行方不明者がいるのでね、本当はそこに入って欲しくはないんですけど、やはり地元のいろんな想いもあるでしょうから、でもやっぱり安全が大事です。安全に勝るものはないと思いますので、これからもそこを重点に対策を進めていってほしい」

御嶽山噴火から9月で9年。

山頂の「剣ヶ峰」で黙とうを捧げた遺族たちは鎮魂の思いを乗せたシャボン玉を空へ飛ばしました。