近年増え続ける空き家をどうするかは自治体にとって大きな課題となっています。
その空き家を有効活用する取り組みが「ただいまより特定空き家等の略式代執行を執り行います」

取り壊しが始まったのは、上市町新屋(あらや)にある木造2階建ての空き家です。築120年のこの空き家は使用されないまま18年が経過。所有者と連絡が取れず、倒壊の危険性があることから、町は「略式代執行」による取り壊しを決めました。

特定空き家に対する上市町の「略式代執行」は7例目で県内では最多です。このように「略式代執行」せざるを得ない空き家を減らそうと、町では、去年4月から大胆な取り組みを始めました。

それが…【0円空き家内覧会】

「こちらが0円空き家バンクの第11号物件になります」

0円空き家バンクです。【空き家バンク説明】

空き家を譲りたい人と安く手に入れたい人をつなげる仕組みで、引っ越し費用に50万円のほか、条件を満たせば最大395万円の補助を受けることも可能です。

【この日は内覧会】きょうは、上市町田島野(たじまの)の空き家で、取得希望者の内覧会が行われました。

「」この住宅は5年前から空き家となっていて、9DKの木造2階建て。状態もよく取得希望者は、県内外・国外あわせて16世帯にのぼります。

内覧会に訪れた石川県小松市の夫婦。現在は、街なかの借家で幼い子ども3人と家族5人で暮らしていますが、自然が豊かな環境に引っ越したいと思い0円空き家バンクを利用できればと考えました。

石川県小松市から:「走り回れそうなくらい広いので、そこはすごくいいなと。0円というのは本当に驚き。こんなことあるのって思いました」

この住宅を手放すことを決めた姉妹は、亡くなった父に、この家をずっと大切にしてほしいと亡くなる前まで言われていたといいます。

空き家の相続人:「私も妹もこの家で育ちまして、多いときはここに9人住んでいたんですね。たとえ0円と言えども最後まで丁寧に使っていただいて、次の廃屋、空き家にならないように住んでいただくのが一番望んでいるところです」

0円空き家バンクには、これまでに12件登録され、そのうち8件が成立。28人の移住・定住に結びつきました。増え続ける空き家問題の解決策として今後も注目を集めそうです。

上市町建設課 金盛敬司さん:「将来的に「略式代執行」の件数が減るのではないかということでこの施策を始めました」「譲り渡す方も譲り受ける方も、それぞれ幸せを感じていただければ素敵なこと」