ふるさとで起きた空襲を広く知ってほしいと平和を祈るコンサートが安曇野市で開かれました。
空襲の犠牲者を慰霊したのは「被爆ピアノ」の美しい音色でした。
トラックからおろされる1台のピアノ。

昭和20年8月6日に広島市に落とされた原爆で傷ついたピアノです。
7月13日に安曇野市穂高地区の古民家で開かれた演奏会に合わせて運ばれてきました。
■調律師 矢川光則さん
「やってもね、1時間後にまた音変わるんです。調律しても、環境変わるでしょう」
調律師の矢川光則(やがわ・みつのり)さん。

自身も被爆2世の矢川さんは、爆心地から半径およそ3キロ以内で爆風や熱風を受けながらも奇跡的に焼け残った「被爆ピアノ」を引き受け演奏できる状態に直しています。
全国を回って開いた演奏会は3000回にも及び、安曇野市では2022年に続いて2つの中学校で平和祈念コンサートが開かれました。
古民家での演奏会では矢川さんに修復を託された7台の被爆ピアノのうちの1台が庭に据えられました。

■矢川光則さん
「音楽はやっぱ世界共通言語でみんな一緒になって、正面からやっぱり平和のことを考えてもらえる。被爆者も高齢で、語り継ぐ人も非常に減少してまして、後世にそれどういうふうに伝えていくかというのは特に被爆地の広島にとって、大きな課題になっている。この被爆ピアノの果たしていく役目ってのはますます大きくなっていくかなと思います」

演奏会ではピアニストの川添由梨香(かわぞえ・ゆりか)さんの伴奏に合わせ、元宝塚歌劇団所属のシンガーソングライターまほろば遊(ゆう)さんが、核兵器への怒りを込めた「原爆を許すまじ」を歌いました。