伝統の街並がテーマパーク化 失われる宗教・言葉・尊厳

レストランを訪ねると・・・

記者
「レストランの入り口には、警備員がいて金属探知機が置かれています」

新疆では、どこの街にも金属探知機が置かれ、装甲車や警察官の姿が多くみられます。しかし、住民によると、これでも警備は数年前より緩くなったのだといいます。
今、中国政府は、新疆ウイグル自治区の経済発展、特に観光産業に力を入れています。伝統的なウイグルの街並みは壊され、代わりにテーマパークのような観光施設が登場していました。
新しく整備された民宿街。経営しているのは漢族です。政府の支援があるため、ビジネスはやりやすいと話します。

漢族の男性
ーー商売はどうですか?
「とてもやりやすいです。政府も積極的にサポートしてくれます」
ーー10年前は漢族とウイグル族の衝突がありましたよね?
「ないです」
ーーなぜ今は良くなったんですか?
「党の政策がいいから。このような取材はしないほうがいい。10年前の話題は良くない」

観光用に再開発された地区には「中国共産党に感謝」の看板。

漢族の男性
「インフラの建設に国が多くのお金を投資しています」
ーー発展の変化は大きいですか?
「ここの発展はとてもはやいです」

漢族の女性
ーーウイグルの人たちが流暢に中国語を話すのにびっくりしましたが?
「みんな中国人だから、標準語を喋るのはもちろんです」

当のウイグル族の人たちは、どう思っているのでしょうか。

ウイグル族の男性
ーーウイグル族の習慣や宗教に変化は、ありましたか?
「質問の意図がわかりません」

ウイグル族の女性
ーー話を聞いてはダメですか?敏感だからですか?
「・・・(手で振り払う)」

人々が本音を口にすることはありませんでした。

習近平国家主席
「中華民族共同体意識の強化を主軸とし、党の民族対策を強化し改善する。中華民族の偉大な復興を全面的に推進し団結奮闘しよう」

ウイグルで進んでいたのは、宗教活動を制限され中国語を使うことを強いられ、中華民族の一員として生きていくことを余儀なくされる「ウイグル族の漢族化」。その流れを止めることはできないのか。「ウイグル族側に選択肢はない」ある住民はそっと打ち明けました。