「どこに私服警察官がいるか分からないから」アクバルが新疆で初めて見せた“緊張”
1年後。留学生活最後の旅の行き先に選んだのは、新疆ウイグル自治区の省都・ウルムチ市。アクバルの口から何度も聞いた新疆をこの目で見てみたかった。

初めて見る新疆の街はこれまで自分が知っていた北京や上海といった大都市とはまるで違っていた。店の看板には漢字と共にウイグル文字が併記され、中華料理店よりもたくさんのウイグル料理店が軒を連ねていた。


ウイグル族が多く暮らす民族街に一歩足を踏み入れると、簡単な中国語も伝わらない。街角には装甲車が配置され、ライフル銃を持った漢族の警察官が、行き交う人々に睨みをきかせている。羊を逆さ吊りにしている露店や、名産のスイカを売るのどかな市場に、装甲車と武装警察官という異様な取り合わせ。ここは同じ中国なのか?私はただただ驚くばかりだった。

その様子をカメラに収めようとすると、すぐさま警察官に「お前は今何を撮った?警察がうつり込んでいるならすぐに削除しろ!」と詰め寄られ、結局削除せざるを得なかった。
そんな私をよそ目に、ウイグル族の人たちはいつも通りの日常生活を送っている。そのコントラストが強烈な印象として残った。