卒業式の話題をお伝えします。この時期に?と思われる方も多いと思いますが、山口県上関町の小学校で、ユニークな卒業式がありました。

中澤樹記者
「卒業式の会場、上関小学校に来てまいす。きょう卒業するのは地元をしょって立つ存在なんだそうです。食事付きの特別教室まで用意されたその正体とは?」

校長の式辞をよく聞くと・・。

上関小学校 森本博美校長
「6月5日に入学してきたマダイ、クルマエビ。この1か月あまりで立派に成長し、ついに卒業の日を迎えることとなりました」

マダイとクルマエビの卒業式です。上関小と、光・熊毛地区栽培漁業協会などが開いたもので、タイとエビにふんした協会のメンバーが児童から卒業証書を受け取りました。学校ではきょうまでの約40日間、3年生と5年生の児童合わせて22人が、マダイとクルマエビの稚魚を、えさやりや水温管理などをして育ててきました。平均で1~2センチほどだったものが、約6センチにまで成長したそうです。

「卒業式」とは、海への放流の時期を迎えたセレモニーです。地元が誇る海の幸の門出に、西哲夫町長からも「たくましく生き抜いて」と祝電が届くという熱の入れようでした。

卒業式を終え、いざ海へ。児童が育てたエビと協会が用意したもの合わせて約1000匹が放流されました。その後、別の浜辺に移動して同じく1000匹ほどのマダイの巣立ちを見送りました。

3年生の児童
「ちょっと悲しいけど、元気に旅立ってほしいから、ちょっとうれしい気持ちもあります。いつもと違う学校生活が楽しめたから、よかったです」
5年生の児童
「元気に育ってほしいなと思いました(記者:どうして元気に育ってほしいと思った?)また今度おいしく食べられたらいいなと思ったからです」

素直な声もありました。

光・熊毛地区栽培漁業協会 谷村誠児事務局長
「改めて地元の海・地元の自然というものを感じ取ってくれたと思います。ふるさとを愛する心というのは、とても大切な心ですので、この機会を通じて、大事にしていてほしいなと思います」

この取り組みはことしで3回目で、来年以降も続けられるそうです。