背景には2024年大統領選 共和党の候補者たちが打ち出す“反LGBTQ法案”
小川彩佳キャスター:
取材したニューヨーク支局の藤森祥平記者に話を聞きます。藤森さん、性的マイノリティの方たちへの理解が進んでいるという印象もあるアメリカで、ここまで逆に風当たりが厳しくなっているんですね。

ニューヨーク支局 藤森祥平 記者:
私も日本にいるときは、アメリカが進んでいるものと思っていました。今、私が立っているのはマンハッタンの街の一角で、今から54年前に大きな暴動が起きた場所です。
その大きな暴動というのは、LGBTQの皆さんが集まりやすいバーに、差別的な強制捜査に入った警察官と市民が衝突して、それがどんどん拡大して暴動になり、やがて世界的なプライドパレードへと広がっていった。まさにLGBTQの権利を広めていく運動の発祥の地ということです。
こうした場所もある中で、アメリカでは、この1年は特に後退しているということがよくわかりました。取材したように、それは社会の分断、政治的な背景もあるということなんですね。
小川キャスター:
地域差もあるということですけれども、特に翻弄されているのは若い世代だと。LGBT当事者の若者の4割が自殺を考えたという数字も非常に残酷に響きますね。
ニューヨーク支局 藤森祥平 記者:
その数字というのはアメリカに限らず、日本でもそうですし、他の多くの国々もこうした同じようなデータが出ている。実際に取材をしてみて、やはり今回このアメリカで浮き彫りになってくるのが政治的な要因。
特に苦しんでいる子どもたち、声を上げづらい教育現場に対しても、政治的な要因・分断を持ち込もうとしている。
特に2024年には大統領選があります。その中で既に野党・共和党の大統領候補者たちは、反LGBTQ法案を前面に出していく、これを打ち出していこうという動きが目立ってきています。大統領選の大きな争点になることは間違いないとみられているわけなんです。
取材させていただいたカレンさんも言っていました。「当事者の皆さんが求めているのは、特別なことではありません。当たり前のこと、命を守ること。これだけをみんなで考えてほしい」と言っていました。
国・党派を超えて、どこまで当事者の皆さんのことを想像できるか、今問われていると思います。