「トイレに行くのは怖い経験」2022年の1年間に自殺を考えた性的マイノリティの若者41%

女の子として産まれたヘンリーさんは、車や電車が大好きで、水泳やソフトボールに熱心に取り組む活発な子どもでした。
自分の誕生日には、水や靴下、毛布などを買ってもらい、ホームレスの人たちにカゴに入れて配っていたといいます。
アメリカ ケンタッキー州 カレン・バーグ 上院議員
「私の子どもは自分だけでなくすべての人にとって、この世界をより良くしたいと思っていました。彼をとても誇りに思います」

14歳の時、自分がトランスジェンダーの男性だと家族に打ち明けたヘンリーさん。
高校生になると州議会の公聴会の場に立ち、トランスジェンダーの子どもたちが自認する性別を、教育現場が理解することの重要性について、一人で演説を行いました。

ヘンリーさん(当時の演説)
「残念なことに私や他のトランスジェンダーの子どもたちにとって、トイレに行くのは怖い経験でした」
その後、人権団体の副報道官として活躍するトランスジェンダーのヘンリーさんに対し、嫌がらせのメールがネット上に溢れました。
命の危険を感じることも、たびたびあったといいます。
アメリカ ケンタッキー州 カレン・バーグ 上院議員
「彼が望んでいたものは、ただ自分の居場所を見つけること。彼が若い時に居場所を見つけられていたら、今も生きていたのではないかと思います」
カレンさんは2023年2月、新たな反LGBTQ法を成立させないよう議会で戦い続けました。

アメリカ ケンタッキー州 カレン・バーグ 上院議員(議会での演説)
「私たちは子どもたちを、政治闘争の真っ只中に置いてしまっている」

ところが3月、ケンタッキー州議会で新たな反LGBTQ法案が可決されました。
州内では、トランスジェンダーの若者に対し、▼公立学校で使用できるトイレが制限され、▼ホルモン療法などの医療ケアはすべて禁止となったのです。
アメリカ ケンタッキー州 カレン・バーグ 上院議員
「これは残酷で、意図的です」

2023年に行われたアメリカの世論調査では、2022年の1年間に自殺を真剣に考えたという性的マイノリティの若者が41%にものぼっています。
アメリカ ケンタッキー州 カレン・バーグ 上院議員
「私の息子は戻ってきません。同じ過ちを何度も繰り返す必要はないのです」