アメリカではいま、性的マイノリティの権利を制限する“反LGBTQ法”が急増しています。一体、何が起きているのか。トランスジェンダーの息子を亡くした女性議員を取材しました。

1年前の2倍以上の法案が可決、亡くなる1週間前に息子から「もう見ていられないよ」

記者(6月25日)    
「マンハッタンは虹色の大歓声に包まれています。世界最大級のプライドパレードが始まりました」

参加者は、例年にない危機感を抱いていました。

参加者
「プライドマーチは私たちの抗議デモなんです」

アメリカではいま、性的マイノリティの権利を制限する「反LGBTQ法」が急増しています。

2023年、全米各地で過去最多を上回る500近い法案が提出され、すでに1年前の2倍以上が可決されました。
出典:American Civil Liberties Union

例えば、▼「LGBTQの教育の禁止」、▼「未成年へのホルモン療法禁止」などの法律です。

背景にあるのが2024年の大統領選挙。バイデン政権の民主党に対し、保守派の共和党が反LGBTQの政策によって、票を集めようとする動きを加速させています。

アメリカ南部ケンタッキー州のカレン・バーグ上院議員。自宅のリビングには、トランスジェンダーの息子・ヘンリーさんの写真が飾られています。その写真は、窓から虹の光が差し込み、優しく微笑むヘンリーさんの横顔を照らしています。
2022年12月、ヘンリーさんは自ら命を絶ちました。24歳でした。

アメリカ ケンタッキー州 カレン・バーグ 上院議員
「亡くなる1週間前、息子は私に何度も言いました。『お母さん、LGBTQの人権が後退していくのは、もう見ていられないよ』と。この世界は息子にとって、あまり良いものではなかった。本当に良くなかったのです」