1986年に福井市で女子中学生が殺害された事件をめぐり、殺人罪で服役した男性が裁判のやり直しを請求している問題について、検察庁・弁護団・裁判所による協議が行われ、検察庁は11日、当時の証拠について一部を開示することを決めました。

この事件は1986年3月、福井市の市営団地の自宅で当時中学3年生の高橋智子さんが包丁で刺され殺害されたものです。殺人罪で懲役7年の判決が確定し服役した前川彰司さん(58)は、満期出所後の2004年に裁判のやり直し=再審を請求しましたが、最高裁は再審を認めないとする判断を下しました。前川さんは去年10月、2度目の再審を請求しています。

名古屋高裁金沢支部では11日、弁護団・検察庁・裁判所の3者協議が行われ、検察は、保管している証拠のうち138点を新たに開示することを取り決めました。弁護団によりますと、検察庁が持つ証拠はおよそ3000点ほどあるということですが、このうち、「弁護団が請求した証拠に合致する」と検察庁が判断したものが、138点だということです。

検察庁は来月までに証拠を開示する予定で、弁護団は福井県警にも証拠の開示を求めています。

「どのような証拠が開示されるべきか」という記者の質問に対し弁護団は、関係者らの供述調書や取り調べの文書、供述をまとめた捜査報告書の開示が望ましいと述べています。次回の協議は10月19日に行われる予定で、弁護団は開示された証拠を精査し、場合によっては検察庁が保管している証拠の目録を開示するよう求めるということです。