吊り革を5本指で握るのは肩こりの原因に

実は、私たちが電車内でついついしてしまっているある行動が、そうでなくても疲れている身体に更なる負担をかけているのだと、おぜきさんは指摘する。
「吊り革の握り方です。多くの方が、5本の指全体で握るように持っていると思います。満員電車では、周囲に気を使って、力いっぱい握りしめている人もいるのではないでしょうか。実は、このことが、肩こりなどの体の不調につながりかねないのです」
ーーえ?吊り革の握り方が問題なのですか?

「吊り革を握っていると手に力が入っていることはわかりますよね。中でも親指と人差し指に力がこもると、僧帽筋の上の部分に力が入ってしまいます。力が入ったまま緊張状態が続くと神経や血管が圧迫され肩こりの原因になります」
ーー確かに、5本の指でつかんでいるときは、特に親指と人差し指に力が入っているようにも感じます。では、どうしたらいいんでしょうか?

「3本指で握ること。たったこれだけです。ポイントとなるのは薬指です。薬指は僧帽筋の下部の奥にある菱形筋とつながっています。薬指を刺激することにより菱形筋の働きが良くなり、僧帽筋が上部に引っ張られていくことを防いでくれます。
ただ、吊り革を握る際に薬指だけだとあまりにも不安定なので、僧帽筋の上の部分に力が入ってしまう親指と人差し指を使わない“3本指スタイル”をおすすめしています。吊り革につかめなくて手すりを握るときも3本指は効果的です」
ーー3本でしっかり吊り革を握れるか、ちょっと最初は不安ですね。

「3本の指だけだと物理的につかまるところが少なくなるから不安ですよね。最初は5本の指で握ってもいいけれど、握りながら中指・薬指・小指の3本で、特に薬指に意識してギュッとつかんでください。それでも握りづらければ吊り革の輪っかの上部をつかんでみてください。この方法でも効果はありますよ」
満員電車でみんな険しい顔の中、自分はこっそり3本指で脱力タイムとは、なんとも贅沢な時間になるかもしれない。