半導体をめぐる国際情勢と“国内回帰”の動きの間で

かつては『日の丸半導体』と呼ばれ、世界シェアで50%を超えていた日本の半導体産業。

しかし外国企業の台頭などもあって、2019年にはシェアが10%にまで下がっています。こうした中、ここ数年で浮き彫りとなったのが、半導体のサプライチェーン=供給網の不安定さです。
米中貿易摩擦やウイルス禍、ウクライナ侵攻などによって国内の半導体不足が深刻化したことで、経済安全保障の観点から半導体製造の“国内回帰”が注目されています。

JSファンダリでは新潟工場に対し、2回に分けて合わせて300億円の投資を行って将来的に生産能力を2倍から3倍にし、300人の新たな雇用を目指す計画です。
16万平方メートル=東京ドーム3.4個分の敷地面積があるJSファンダリは3棟の工場があり、600人近い社員が働いています。
この会社を設立したのは2022年12月ですが、実は工場自体はもともと、この小千谷に存在していたものでした。

“半導体の街”新潟県小千谷市

1984年に電機メーカー・三洋電機が新潟県小千谷市に半導体の工場を構え、『新潟三洋電子』を設立。多い時で、社員1500人以上が働いていました。
ただ、2009年に半導体事業の縮小を決定。2011年にはアメリカの半導体会社「オンセミ」が新潟工場を取得。翌年には希望退職を募り、人員整理も行われました。

『新潟三洋電機』の社長を務めた元小千谷市長・谷井靖夫さん(85)

かつて『新潟三洋電子』の社長を務め、2006年から2期にわたって小千谷市長を務めた谷井靖夫さん(85)は、当時をこう振り返ります。

【小千谷市 元市長 谷井靖夫さん(85)】
「三洋電機がなくなったときに『ここの工場が稼働停止してしまって廃工場になるんじゃないか』ということは一番恐れたこと。外資であれ、何であれ、続けて操業できたということは、小千谷にとっては本当に幸せなことだった」