■自主と夜間の「最も大きな違い」とは?

(キャスター)
「取材した三輪記者です。公立と自主の違い、改めて教えてもらえますか?。」
(三輪)まずはその数ですが、全国15の都道府県に「公立が40校」「自主が約30校」あります。
(三輪)その違いは公立と自主では、「授業日数」そして「誰が教えているか」という点です。また公立は、一般的に年齢などの入学要件がありますが、自主は学びたい人は誰でも学ぶことができます。
そして大きな違いのひとつが「卒業資格」の有無です。

■卒業証書がほしい
三豊市の85歳の女性が公立夜間中学校に通う理由を語ってくれました。

(三豊市立高瀬中学校生徒・85)
「卒業証書がほしい。いくら勉強してでも。中学校は行きたいとずっと思っていた。やっと私、満たされると思って」


(岡山自主夜間中学校の生徒・86)
「数学はおもしろいんですよ」
「小学校の卒業証書もないんだもの。卒業証書をいただいたら冥途の土産に持っていこうかな」
■”自主”夜間中学校では卒業資格は取得できない
しかし、自主夜間中学校では卒業資格は取得できません。卒業資格…その持つ意味は単に卒業後の進路に必要なためだけではないといいます。

(岡山自主夜間中学校 城之内庸仁理事長)
「この卒業証書をもらうことによって私も人並みに学校をでたということや人間の尊厳ではないかと思う。卒業証書は持っていない方にとっては非常に重たいものだと思います」

岡山市の86歳の女性は2年前、「卒業資格が与えられる公立の夜間中学校を設置してほしい」と行政に請願書を提出しました。
(岡山自主夜間中学校に通う生徒・86)
「教育に税をついやしても決して無駄ではありません。「求める人が少ない」とつくる側は、言いますがそういうものができたら行きたい人もいると思う。無駄と思えても教育は施すべき」
■岡山市の取り組み

(大森雅夫岡山市長)
「岡山市立の夜間中学の設置について具体的な検討を進める。準備が早く整っていくということがあれば前倒しをすることも十分にある」
2021年、岡山市は2025年度までに公立の夜間中学校を設置すると明らかにしました。つまりは3年後。岡山自主夜間中学校を運営する城之内さんは一日も早い設置をと訴えています。

(岡山自主夜間中学校 城之内庸仁理事長)
「高齢の方がもう80代後半90代になっている。社会に直接的に役に立つことではなかったとしても、自分の尊厳を取り戻す最後の機会。その意味で一刻も早い公立の夜間中学の設置は望まれる」
■自主の夜間中学校も必要
待ち望まれる公立の夜間中学校です。一方、自主には自主の良さもあります。
(岡山自主夜間中学校の授業)
「これ何と読みますか」
「ほんぎゃあ・・・」
「赤ちゃんの泣き声ですね」

公立と違うところ、それはひとりひとりの習熟度に合わせたマンツーマンの授業。またそれぞれが関心のある科目を学べるところです。卒業資格は得られなくても、誰でも入れる自由度の高い自主の夜間中学校も必要とされているのです。

(岡山自主夜間中学校 城之内庸仁理事長)
「全ての学びたい人を誰一人置き去りにしないためには公立と自主が自転車の両輪のようにかみ合いながら前に進んでいく必要がある」
ひとりひとり違う学び直しのニーズ。学びたい人が目標や生活にあった学びの場を選べる環境づくりが進みます。