寄付の半分は“経費” ふるさと納税「見直し」

長野県のケースですと寄付額は約12億円なのですが、これ全てが税収になるわけではありません。内訳を見ますと、▼返礼品が3割、▼民間のポータルサイト手数料が1割、▼配送料などが1割、ということで、寄付額のおよそ半分は消えてしまうということです。

では、残りのおよそ6億円が税収になるかというと、そうでもない。というのも、長野県からふるさと納税で流出する額というのもあるんですね。

流出額がおよそ14億円。ただ国が75%補填するなど条件があり、最終的に計算をすると、税収としては約2.5億円になるということです。それにしてもそもそもの寄付額と比べるとだいぶ少なくはなりますよね。

山本恵里伽キャスター:
そうですよね。12億円の寄付額だったのが最終的に税収は2.5億円になる。

久保田編集長:
寄付額の部分について問題点をまず指摘したいと思います。経費総額が半分になることについて、ふるさと納税に詳しい吉弘教授に聞きました。

桃山学院大学 吉弘憲介 教授は「行政サービスに使われる税金の半分を、個人の利益や行動に交換するために使ったと言える」と指摘しています。

小川彩佳キャスター:
「言われてしまった〜」という感じはありますよね。

山本キャスター:
利用している人間からすると、すごく複雑な思いで今いっぱいです

小川キャスター:
本当に魅力的な返礼品がいっぱいありますから、そこに心躍ってしまうとか、そういうところが正直ありますけれどもそれだけではなくて、こういったお金の流れというのは把握しておくことも必要だな、と思いました。

久保田編集長:
こうした状況に一石を投じようと、長野県は、4月に「ガチなが」という県直営のふるさと納税サイトを立ち上げました。

伝統工芸品の支援など、10の事業への寄付を呼びかけていますが、最大の特徴は「返礼品を提供していない」点です。返礼品などにかかるコストを減らし、地域で使える金額を増やすことを目的としていて、開設から2か月で、125万円ほどが集まっているということです。

県は当面、現在のふるさと納税制度と「ガチなが」の共存を図っていくとしていますが、将来的には「ガチなが」への一本化を目指したいとしています。