市は「進める」で住民説明会は平行線…


3月に開かれた串原地区の住民と市の教育委員会の話し合いでは、住民のひとりから出された「このまま早く進める方がいいか、しっかり議論してから決めた方がいいか?」との問いかけに対し、「議論してから決める」という意見に、参加者の多くが手をあげました。


これを踏まえ、住民から「意見が分かれる中、このまま1校で進める事がこの地域にとって素晴らしいことなのか?」と市の担当者に質問が出され、市の担当者は「この状況でも前に進めていきたい」と答えました。


さらに、説明会ではこんなやりとりも。

(住民)
「本当に悲しいのが正直なところ…」

(市教委)
「質問の会ですので、そのような言い方は困りますね」

(住民)
「資料を見ると統合の効果は書いてあるが、そういう(反対の)思いの人がいることは何も触れられていない」

双方理解は進まず平行線でした。

説明会終了後、住民は…。

(住民)
「子どもへの負担や子どもの命に関わってくることばかりなんです。本当にいい統合の仕方を考えていただきたい」

このまま本当に進めるのか、改めて教育委員会に尋ねたところ「統合で通学時間は長くなり、きめ細かい指導が難しくなるなどデメリットがあるが、同級生が増える事で社会性が育まれるメリットがあり、統合に向けた準備を進めたい」と、計画通り統合を進める方針を改めて示しました。

恵那市役所


学校の統廃合を研究する和光大学の山本由美教授は。

(和光大学 山本由美教授)
「(恵那市のケースは)全国的にもまれな大きな規模統廃合。通学の負担が、子供の日常生活に大きな負担をかけるのはもちろんですけど、学校と地域が繋がって、一つの文化を作ってきたのがいきなりなくなってしまうことは、子どもたちの成長や発達にとって大きな影響を与えるのではないか」


この20年で廃校になった公立小中学校は、実に8500校を超えています。

国が急速に統廃合を進める中、地元の学校で育っていく昔ながらの地域社会の維持は、もはや難しいという現実も見えてきます。