■「日本に平和な温室はない」今後の日本に求められるものは?


ーーもし万が一台湾侵攻があったら日本はどうする?

日本はアメリカのような“あいまい戦略”はないんです。尖閣事件以降、日本の対中政策は変わらざるを得なかった。なぜかというと中国の態度が変わりましたから。日本が何にもないのに台湾について何らかの行動を起こすということは、おそらく誰も考えていないと思います。ただし問題は台湾との距離、特に与那国島と台湾との距離は111キロしかない。もし中国が本気で台湾をとろうとしたら、私だったら台湾を包囲します。包囲すれば与那国島の領空、領海も影響を受けるわけです。それが第1点。
第2点は台湾を本気で攻撃しようと思ったら最初に攻撃するのは在日米軍ですよ。在日米軍が動いてしまったら、もうできなくなりますから。日本があいまい戦略をとるまでもなく、もし与那国島に何かあったり、もしくは在日米軍に何かあればそれは当然日本に対する攻撃に成りうるわけでありますから、これは日本有事なんです。安保条約でいえば5条事態です。沖縄の米軍に対する攻撃があればそれは沖縄に対する攻撃ですから、あいまいもへったくれもないんです。明らかなんです。そのことを中国によく理解してもらわないといけないと思っていて、それが一種の抑止であると。では日本はどうするか、一昔前の議論で(防衛費)1%、それでは足りないですよ。大切な税金ですが、まだまだ使わなければならないお金はあると思っています。
その上で、もう一つは戦い方を変えること。陸上自衛隊は海兵隊にならなければいけない。第一列島線から逃げるわけにはいかない、日本にとっては領土ですよね。そこで戦うためには敵のレーダーに見つからず、船でやって来たり飛行機でやって来たものを事前に抑止するという能力は持たなければいけない。今までのやり方ではそれはできません。そのことを考えるとやはり(防衛費)2%はあるべき姿なんだろうと。ドイツですら2%です。

日本は非常に難しい立場にありますが、しっかりしなければいけないのは、ウクライナと同じようなことは絶対に起こさせませんよということです。それをやる力は日本は今、持ちつつあると思います。それをうまくエレガントに。喧嘩腰でやる必要はないので、中国にわかってもらえばいいわけですから。それが抑止だと思っています。中国はもしかしたら台湾について核の威嚇をしてくるかもしれませんが、その意味でも広島でのいろいろな会合は意味があると思っています。そういう意味では日本がやる役割は、まだまだ十分あると思います。

ーー世界はこれから大きくかわりますか?

変わります。残念ながら戦後のこのグローバル化の世界はちょっと小休止です。
ロシアにせよ、中国にせよ、もしかしたらイランもやるかもしれないけど。私は「諸帝国の逆襲」と言っていますが、1930年代が形を変えて帰ってくる可能性があると思いますので。日本は平和な温室はない、ビニ-ルは取れて北風が入ってきますから、真剣に考えなければならない時期に来ていると思います。


「国会トークフロントライン」5月27日放送より)