ヘルパーやボランティアの力を借りて子育てをしてきた…

夫 和雄さん(2018年取材):
「一番困ったのは授乳で、授乳の時は机を持ってきて、おっぱいに子どもの頭を付けて、こういう感じでやったんやけど、なかなかうまくいかんで大変やった」

ヘルパーやボランティアの助けを借りながら、和雄さんとともに子育てをしてきました。

河上千鶴子さん:「普通の女の人でも子育ては大変やから、一人でやろう思うから大変やけど、ちょっとでも手伝ってもらえたら楽になると思うからあきらめたらあかん」

去年12月、河上さんが衝撃を受けたのが、北海道の障害者グループホームの発覚した問題です。この施設では、20年以上にわたり、結婚を望む入所者に不妊手術を促していました。

河上千鶴子さん:「法律がなくなっても、障害者が子どもを産んだらだめな存在として見られているいうのが、ショックだったし、怒りを覚えました」

優生保護法で広まった優生思想は、法律がなくなった今も社会に残されたままです。藤野さんは、被害の実態の把握だけでは、問題の解決にはならないと指摘します。

優生保護法に詳しい 元敬和学園大学教授 藤野豊さん:「なぜ日本国憲法の下でこのような人権侵害が起こり、50年近く続いたのかの究明が必要なんですよね。やっと気が付いてきた、あまりにも遅すぎたっていうのは、我々の責任もあると思います。みんな、国も自治体も国民も我々の責任っていうことを考えなきゃいけないなと思います」

多様性の時代と言われながら、今も根強い障害者への差別。河上さんも、これをきっかけに一緒に社会のあり方を考えてほしいと訴えます。

河上千鶴子さん:「一緒に考えて進もう」

報告書では法律の下でこうした被害が起きた責任の所在については明らかにしていません。同じような問題が二度と繰り返されないようにしっかりとした検証が必要です。