同学年の新井と初めての同時代表入り
世界陸上の標準記録ももちろん狙って行くが、6月16日時点でRoad to Budapest 23が13位と安全圏にいる。
「去年より状態が良いのは明らかです。基礎と向かい合って体力値を落とさないようにしながら、技術の本当に一瞬の部分は、練習で結構走れているときにしかできないので、一番一瞬のところを突き詰めて、あ、ここだな、ここだなっていう部分を繰り返してから助走を伸ばして試していく。それの行ったり来たりですが、そのプロセスがあってやりが飛ぶんです。そこは確信してやっているので、今シーズンはどの試合も外していません。その辺は職人レベルで世界陸上に向けてやっていきたい」
ディーンは早大1年時(2010年)に世界ジュニア(現U20世界陸上)で銀メダルを獲得し、3年時に84m28の学生新(日本歴代4位)をマーク。同年のロンドン五輪に出場し、予選を突破して79m95の9位と健闘した。しかし14年以降はケガなどで、80mに届かないシーズンが19年まで続いた。
その間に日本の男子やり投をリードしたのが新井だった。14年に初めて80mを超えると、86m83の日本歴代2位まで記録を伸ばした。同年のアジア大会銀メダル。15年世界陸上北京大会、16年リオ五輪と連続で決勝に進み9位と11位。ディーンと同様に入賞に迫った。日本選手権は14年から20年まで7連勝し、17〜19年も日本代表に入り続けた。
ディーンが20年に復活して84m05と自己記録に迫る距離を投げ、21年以降も3シーズン連続82m台。昨年の世界陸上オレゴンは9位と、ロンドン五輪に続き入賞に肉薄した。
一方の新井は日本選手権で21、22年と3位以下が続き、代表入りができなかった。ディーン、新井の日本選手権1、2位は20年(新井1位、ディーン2位)に続いて2回目。新井も現在Road to Budapest 23で20位。そろって世界大会代表入りの可能性があるのは初めてである。
世界陸上代表が決まるのは8月2日以降だが、ひと足先に7月のアジア選手権(タイ)代表に2人とも選ばれた。Twitter上で2人が以下のようなやりとりをしていた。一部を抜粋する。
新井「久々の代表戦です!記憶なくなるほど色々ありましたが、ここまで戻ってこれました。全力で楽しめるように準備して行きたいと思います!」
ディーン「新井と代表は2013年ユニバーシアード以来10年ぶり。2人とも気づけばこんな年で、2人とも紆余曲折あり、ここでまず成果出せるようにおじさんず、投げれる幸せをかみしめて頑張ろう」
新井「ほんとね。お互い紆余曲折しすぎよ。やっと2人でタイミング合って最高すぎです」
ベテラン2人が国際大会を初めて一緒に戦う。どんな相乗効果が現れるのか、楽しみにしたい。