農家に直接メリットなし「思いやり」どう引き出す

土井課長「田んぼダムに取り組む農家にとっては直接的なメリットはございません。効果が発生するのは下流域。下流への共助の気持ちを持ってもらい農家への協力をお願いしている」

六角川は佐賀県中部を流れる一級河川。豪雨のたびにはん濫し、周辺の病院や住宅が水に浸かった。この六角川の上流に位置する武雄市で農業を営む中尾文隆さんを訪ねた。中尾さんは田んぼダムに理解を示すひとりだ。

農家の中尾さん「下流の大町、北方、橘町あたりは毎年のように被害を被っているので、上流である我々の方でいくらかでも被害の軽減にお手伝いできれば」
「田んぼダム」は農家の理解と協力が不可欠な取り組みだった。直接のメリットがない農家をいかに巻き込むかが焦点となる。下流への思いやりのはずが自分の田んぼも犠牲に-。こんな事態を想定して二の足を踏む農家に対し、佐賀県は行政としてのバックアップを打ち出した。協力した農家に対し1000平方メートルあたり2000円の協力金を支払うことにしたのだ。また、計4200万円を当初予算に計上して土手が崩れた場合は補償する。
佐賀県は、田んぼダムが発動しないことを祈りながら、協力農家の募集を進めている。
※出典:農水省 2020年の数値