日米首脳会談で岸田総理は防衛力の抜本強化を確約して防衛費については「相当な増額」を行う考えを示しました。折しも自民党がいまのおよそ倍に相当する防衛費のGDP比2%相当への引き上げを求める提言をまとめる中、日本の安保政策は大きな分岐点を迎えています。参院選でも大きな争点となりうる安全保障政策について考えていきます。

後藤政治部長:
日米首脳会談が23日に行われました。岸田総理にとっては待ちに待った会談だったのですが注目したいのは、その後の共同会見です。

岸田総理は今後の日本の安全保障のについて思い切った発言をしたなと思いました。

防衛費を相当な額、増額するということを言いました。「相当な額」というのがどれくらいかということを含めてみていきたいと思います。この発言内容を聞いてみたいと思います。

岸田首相
「私からは、日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明し」

後藤部長:
“抜本的に強化”“相当な増額”とかなり強調する表現がありました。日本の防衛費はこれまで長い間GDP 1%前後で推移してきました。しかし、ここにきてロシアのウクライナ侵攻や中国の海洋進出など日本周辺の軍事的懸念が強まる中でこういった発言がありました。

バイデン大統領も首脳会談の冒頭で“アメリカの日本への防衛のコミットメント”を引き続き、続けていく考えを示しました。日米同盟の軍事面防衛面で強固な関係を続けていくとしています。それに応じる形で「相当増額する」ということだったので、どれぐらいの金額になるのか?国会では補正予算案の審議が始まりましたから、野党側は岸田総理にどれくらいの金額の増額かに焦点を絞って審議されると思う。そんな中、この共同会見の当日に自民党・安倍元総理が5月23日に防衛費について意味深な発言をしています。

安倍元総理
「おそらく6兆円の後半という意味ではないのかなと。そう思うわけでございます。それについてはしっかりとこれは国債で対応していけば私はいいんだろうと思います」


皆川 玲奈キャスター:
安倍さん6兆円の後半と言っていますね。

後藤部長:
この発言で注目したいのは2点です。一つは防衛費増額の具体的な金額に触れたこと。岸田総理が言及する前に発言したということ。そしてもう一つが財源です。国債=国の借金で賄えということを主張しました。まずこの防衛費の6兆円の後半というのがどういうものなのかについて考えてみたいです。令和3年の「防衛白書」です。この白書の中で防衛費の推移がまとめられています。防衛費は計算の仕方や対象によって違いが生じますが、いま日本のGDPが550兆円前後ですからその1%程度の5兆5000億円程度で収まっている。


皆川キャスター:
安倍さんは6兆後半と言っているから+1兆円?

後藤部長:
そうですね。単純計算すると1兆円ぐらい上積みするのではないか安倍元総理はそういったメッセージを発したと思います。国債でということを安倍元総理は触れていますが

その理由についてこう説明しています。“建設国債は道路や橋など次の世代に大切なインフラ残していくための予算”とした上で防衛費は次の世代に祖国を残していくための予算だから当然出すべきお金はしっかりと出していくべきという訴えました。

皆川キャスター:
気になるのは何に使うのかということですよね?具体的に知りたいと思います。

後藤部長:
そこなんですね。その前提として安倍元総理以外にも自民党も防衛費について提言をまとめています。4月27日、岸田総理に自民党の国防部会や安全保障調査会の幹部などの“国防族”と呼ばれる議員が提言をまとめて手渡しをしました。これから5年をめどにGDPの2%10兆~11兆円ぐらいまで防衛費を引き上げるべきだという提言です。

皆川キャスター:
いまの防衛費の倍ですね?

後藤部長:
倍ですね。安倍元総理が出している6兆円後半からしても4兆円のギャップがあるわけですね。指摘の通り金額ありきだと効率的な賢い消費=お金の有効活用できるかどうかわからない。防衛費は何に使うか?これは国を守るため、戦争に巻き込まれないように国民の生命財産を守るそういう部分だと思う。防衛の在り方はどういうものが望ましくそのための環境整備にどう資するのがいいのかが重要。岸田総理、金額もさることながらやはり日本の安全保障観=日本をこうやって守っていきたいんだというのが一つあると思います。今政府は年末までに防衛3文書の取りまとめを行っています。

日本の防衛政策に関する(1)国家安全保障戦略(2)防衛大綱(3)中期防衛力整備計画の3文書を年内にまとめます。これが今後の安保防衛政策のビジョンが出てくると思う。その中でより具体的な「だからお金がかかるんだ」ということを考えていく必要があると思います。

皆川キャスター:
ただ単に防衛費を増額しますよということだと「高い防衛装備品を買うのかな」という風に安易に考えがちなのでもう少し深い説明を聞きたいなと。

後藤部長:
もう一つあるのはハードの武器以外にもサイバー攻撃などにどう対処するのか。無人兵器などが活用されている。そうしたものに対してどう向き合っていくのか。戦争を避けるための方法として防衛だけでなくて外交・政治・情報収集(インテリジェンス)にかかわる人材にどれくらい投資するのか育てていくのかというのが重要になっていくのではないかと思います。今どうも見ていると岸田総理だとか安倍元総理、自民党の提言など、政府と自民党の動きばかり目立っています。野党はどういう風にこの動きを見ているのかぜひ夏の参院選挙がありますから、そこはポイントになるんじゃないかと思っています。

皆川キャスター:
夏の参院選の争点になると?

後藤部長:
自民党が出しているような提言もし(防衛費を)倍増するようなことになったらこれはある意味パラダイムの変換だと思います。これまでの基本的な考え方が大きく変わってくることになりますから国を挙げてどう取り組んでいくのか考えていくのか参院選挙の大きな争点になりうると思っています。