宮城県山元町に東日本大震災で大きな被害を受けた伊達家ゆかりの「茶室」があります。この茶室は仙台藩で現存する唯一の茶室で、町ではその修復に向け動き出しましたが、その費用は約7000万円になると分かりました。困った町が打ち出したある作戦とは?

町の指定文化財「大條家の茶室」とは

福士慶子さん(86):
「久しぶりですね。もう少しきれいになっているかと思った」

山元町に住む福士慶子さん(86)です。福士さんは震災が起きる前まで、山元町坂元にある茶室で、週に1度開かれていた茶道教室に近所の人たちと通っていました。

福士慶子さん:
「以前はここにつくばい(手を清める場所)があって、そこから茶室に入った」

しかし、この茶室は現在、立ち入りが禁止されています。福士さんがこの茶室を訪れるのはおよそ10年ぶりです。

福士慶子さん:
「全然面影ないでしょう。下までぐるーっときれいにつつじがなっていて。茶室から真正面にみると一番きれいだといわれていた」

町の指定文化財に登録されている「大條(おおえだ)家の茶室」。1832年に仙台藩の伊達家から代々家臣として仕えた大條家に与えられたものです。

当初は、仙台市青葉区にありましたが、1932年に大條家の城がある今の場所に移築されました。

1945年の仙台大空襲で藩政時代の多くの建物が失われる中、戦火を免れましたが東日本大震災で大きな被害を受けました。

今回、町に許可をもらい特別に中を見せてもらいました。