6月7日、日経平均株価がバブル崩壊後最高値を更新しました。株高の要因は?生活への影響は?経済ジャーナリストの後藤達也氏に聞きました。
株高の要因は?後藤達也さん解説
喜入友浩キャスター:
連日高値が続いている日経平均株価ですけれども、7日、東京株式市場で、バブル崩壊後の最高値を更新しました。一時3万2700円台をつけました。

小川彩佳キャスター:
なぜ今これだけ株価が上がっているのか、バブル以来の高値となっているのか、まずここから解説していただけますか。
経済ジャーナリスト 後藤達也氏:
なんで外国人が買っているのかというのは、日本経済が変わるんじゃないかという期待が出てきてるっていうところなんですね。賃上げ、物価、企業への改革期待とありますけれど、賃上げについては春闘とか非常に強かったんですよね。物価も上がってますが、企業もある程度稼いでるため、しっかり従業員に還元しようという意識が広がってきていて、かつ人手不足もあるので中小企業も含めて賃上げしようって広がりがじわっと来てるんですよね。
今まで、日本経済はなかなか賃金が上がらない、だから値上げもできない、消費も伸びない、企業は儲からないので、やっぱり賃金も上げられないっていう、すくんだような状態だったと思うんです。ですが、賃金も物価も上がって企業の稼ぐ力も増えてきていると。企業の改革意識についても、東京証券取引所の要請とかもあり変わってきてるんですよね。
そういったものが一体となり、今までの少し弱そうな、停滞した日本経済が変わるんじゃないか?そういった期待がこの数か月でかなり高まってきてるんですよね。

小川キャスター:
失われた30年がここでいよいよ変わるんじゃないかと。
後藤氏:
単にサイクルで1年2年で景気がよくなるというよりも、20年30年で見た日本経済の体質が良い方向に変わるのではないかと。もちろん本当に変わるかわからないので今は“期待”の段階なんですけども、株価期待を先取りする形で上がっていくので、そうした動きがこの2、3か月は出ているということかと思います。
小川キャスター:
株を持っていない方も多い中で、これまで株高のニュースがあっても、私たちには関係ないです、実感が伴わないっていうことを感覚として覚える方も多かったと思うんですけれども。
後藤氏:
最近NISAとかの広がりで、株の投資をしている人は少しずつ増えてはきていて。株が上がると懐は温まるので、基本は株高はいろんな人にプラスになってくると思うんですね。
持っていない人には確かに恩恵が受けにくいですけれども、株が上がることによってマインド面にもプラスの影響がありますし、株で儲かった人が消費に使うことによって経済が回る面もあります。基本的には幅広い国民の方にとってプラスの話かなと思います。
喜入キャスター:
ただ、円安も進んでいるという中で、後藤さんがSNSで発表されているグラフを紹介します。日経平均株価、そのままの数字が青です。それをドルに換算したものが赤なんですけど、これを比べると、2021年の高値の水準にはまだ届いていないということになるんですね。

後藤氏:
2021年の初め頃は1ドル110円ぐらいだったんですよね。今は140円ぐらいになってきています。アメリカのドルを持っている投資家が日本株を買おうと思った時、ドル換算を意識したりすることもあるんですね。そういう意味で、日経平均株価はかなり上昇してる感じがありますけども、ドル換算した時には、まだ高値まで距離があるっていうことなので、“まだまだ買いやすい”という状態だと思うんですね。
言い換えると、すごくお金を持ってる投資家が1億ドル分の日本株を買おうと思った場合、1ドル110円だったら110億円ですよね。それが1ドル140円だと140億円になるわけです。110億円の買い注文と140億円の買い注文、当然140億円の方が株価にプラスのインパクトがあるっていうことなので、円安になることによって、より日本株を買う、株価押し上げる力が強まってるっていうところも一面としてあると思いますね。
小川キャスター:
状況が後押しされているということなんですね。一方でなんですけれども、値上げも続いてますよね。