捕獲されたシカの廃棄問題を知ったことから、シカの食肉加工・販売会社を立ち上げた3人の若者。コロナ禍での厳しい状況を乗り越え、今年6月9日、京都市南区にジビエ料理の店「ナチュラルバル『MEAT UP』」をオープンしました。

「3か月給料ない時も何とか耐えて…」平たんではなかった道のり

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 京都府南部の山あいに位置する笠置町。今から3年半ほど前、人口1100人あまりの小さな町にやってきたのが、今年6月9日に京都でジビエレストランをオープンさせた3人、山本海都さん(25)・江口和さん(26)・笠井大輝さん(25)です。当時はまだ龍谷大学の学生でした。

 大学で農作物の獣害について学んだ3人は、シカの捕獲数が年々増えているものの、笠置町ではその全てが廃棄されている現状を知りました。そして、害獣として駆除されるシカを捕獲・解体し、食肉加工して販売するジビエの会社「RE-SOCIAL」を立ち上げたのです。

 (RE-SOCIAL 笠井大輝社長 2020年)
 「自分たちがこの事業をしないとシカとかが捨てられて無駄になっていく。かわいそうな現状は変わらない」

 去年だけで270頭を捕獲。罠にかかったと連絡が入ると、すぐに現場へと向かいます。取材班は今年6月2日、捕獲の現場に同行しました。家庭菜園のネットにかかっていたのは子鹿。生まれて間もないものの、大小関係なく罠にかかれば獣害の可能性があるため、捕獲の対象となります。

 (山本さん)「畑、毎年荒らされている?」
 (捕獲を依頼した人)「毎年荒らされてんねん。お前がもうちょっと捕らないと」
 (山本さん)「頑張ります」

 捕獲されたシカはすぐに処理施設に運ばれ食肉用に解体されます。

 (RE-SOCIAL 山本海都さん)
 「3年目になって、合計でもう700頭くらいさばいてきたんですけど、作業としては正直慣れてきます。気持ちとしては、しっかりと命をいただくことに真摯に向き合っているつもりです」

 創業して3年、ここまでの道のりは決して平たんではありませんでした。コロナ禍が直撃したのです。

 (RE-SOCIAL 笠井大輝社長)
 「卸売りを中心とした飲食店に対しての販売がなかなか思うようにできなかった部分があって、2年目の時は3か月くらい給料みんななしにして、何とか耐えて…」