新潟県三条市に住む西潟健一さん(77歳)は、石油ストーブの修理業を営むかたわらで、もうひとつユニークな肩書きを持っています。
懐かしいメロディ「懐メロ」で高齢者の心を癒すボランティアの“伝道師”です。
カラオケ好きが高じて、8年前から『懐メロ伝道師 西けんじ』と名乗り、婦人会や福祉施設など年間30か所以上で、歌のボランティア活動を続けてきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響で、3年前から活動は全て中止に…。
【懐メロ伝道師 西けんじ こと 西潟健一さん】
「もう諦めの気持ち。ボランティアの計画をしてもキャンセルに…」
2023年5月、新型コロナウイルスの感染症法5類移行を受けて早速、近所の介護老人福祉施設からの電話が入りました。
待ちに待ったボランティの依頼。久しぶりに歌声を披露できることになりました。
【電話のやり取り】
「よろしくお願いします…」
「私も一生懸命練習します!」

そして5月26日…。
感染対策のためにと制限していた外部の人の立ち入りも解除され、歓迎の飾りつけが華やかに“西けんじ”さんを迎えました。
【介護老人福祉施設つつじガーデン三条 施設長 渋木慶子さん】
「体を動かすレクリエーションはしていましたけど、声を出すのはできなくて…。歌は飛沫が飛ぶので避けてました」

施設の中に居た40人の利用者が集まり、いよいよ3年ぶりの『懐メロショー』が始まります。
昭和21年発売の『リンゴの唄』、昭和24年発売の『青い山脈』、昭和36年発売の『上を向いて歩こう』…と、“懐メロ伝道師”が思いを込めて次々と生の歌声を披露しました。
『懐メロ伝道師 西けんじ』さんの歌に合わせて、ショーの後半には利用者の皆さんも歌い出しました。
懐メロには「不思議な力」があるようです。

【介護老人福祉施設つつじガーデン三条 施設長 渋木慶子さん】
「自分の若い時代にタイムスリップするんでしょうね。リズムに乗ると、忘れていたこともよみがえる」
【観客】
「歌とかね、こういうのは大好き~!」
3年ぶりに再開した歌のボランティア。
西潟さんが活動を続ける理由とは何でしょうか?

【懐メロ伝道師 西けんじ こと 西潟健一さん】
「喜ぶ顔が目に浮かぶんですね、一緒に手をたたいたり踊ったり。自分の両親にも聞かせてあげれば良かったなぁと思って…。私も元気をもらいますので、世の中が明るくなったら、また私もどんどん施設の方に出向いて行きたい」