高級食材のフジツボ。出荷できる大きさに育てるのに何年も掛かり、希少で高価なものとされてきました。それが将来、手頃な価格で身近な県産品になるかもしれません。青森県階上町の試験場が全国で初めて実用レベルでフジツボの赤ちゃんの生産に成功しました。

フジツボは、エビやカニと同じ甲殻類。中でも「ミネフジツボ」は直径5センチほどにもなる国内では最大級の食べ応えのあるフジツボです。

そんなフジツボを30年ほど前に県内で初めて提供したのは、青森市にあるこちらの日本料理店です。

カニだったら絶対おいしいだろうと
※日本料理百代 浪内通料理長「市場のゴミ捨て場に捨てられていたフジツボを見て、もらって帰ってきていろいろ調べた。」


浪内料理長が調理方法を考案して提供したところ、客の反応は上々で、講習会を開いて普及に努めてきた結果、全国からの引き合いが強まって次第に品薄感が高まりました。当初は、無料で手に入っていましたが、値段は現在、1キロ4000円ほどに上昇し、希少価値の高い高級珍味へと成長しました。

※河村庸市キャスター「ではいただきます。ちょうどいい塩加減で濃厚で甘い。ウニでもないしカニでもない」濃厚な甘み!これは、青森の地酒にも合います!でも、今は高級で数も少ないのが課題です。

そこで、階上町の青森県栽培漁業振興協会は、2013年から八戸学院大学と共同で「ミネフジツボ」の養殖技術の開発を進めています。特に難しいのが種苗生産で、フジツボのエサとなる植物プランクトン10種類を与える実験を行ない、2022年度、タラシオシラのみを与えたところ、6回の実験で6回とも成功したと言います。それまでは2割以下の成功率にとどまっていたため、養殖技術の確立に向けて大きく前進したといえます。

フジツボの養殖に大きく前進

※青森県栽培漁業振興協会 松橋聡専門員「寒流系のプランクトンを使うことによって(たまたま)できたから(確実に)できるレベルに向上しました。」「来年以降ですね、タラシオシラを使うことによって、100%ではないにしても、高い確率で種苗生産が可能になると思っています。」