2024年4月からトラックドライバーの残業時間の規制が強化されることを受け、深刻な人手不足が懸念されるのが2024年物流問題だ。このままでは2030年には、コロナ前と比べて約3割もの荷物が運べなくなるという試算もある。企業の対応を取材した。

「リレー輸送」で効率も歩合給もアップ

香川県高松市に本社がある総合物流会社の朝日通商は従業員424人のうちの230人がドライバーだ。深刻なドライバー不足の背景にあるのは、高齢化と労働時間、賃金の問題だ。現在、ドライバーの残業時間は上限規制の対象外となっていて、日本の物流はドライバーの長時間労働によって支えられてきた面もある。

こうした労働環境は2024年4月から大きく変わる。ドライバーの残業が年間960時間に制限されるのだ。直接影響を受けるのは物流の量だ。民間のシンクタンクによると、労働時間の規制とともに、2030年にはコロナ前と比べ、34.1%が不足する可能性があると試算している。

朝日通商が試験的に導入したのがリレー輸送だ。

株式会社朝日通商 後藤耕司社長:
リレー輸送というのを我々は全国展開したい。その前に我々はシャトル便というのをまず始めて、これは高松から大阪に1日で行って帰ってくる。そうすると、ドライバーは毎日家に帰れる。これを組み合わせて繋いでいくと長距離もできるのではないのかというところが「リレー輸送」の最初の着眼点です。

本社がある香川県高松市から東京へ商品を届けるリレー輸送を取材した。午後3時20分、トラックが高松にある本社に到着。トラックにはドライバーの藤澤修平氏がこの日、四国にある工場から集めた商品が積まれている。ここでドライバーは藤澤氏から花谷薫賢氏に交代し、午後4時に高松の本社を出発した。

同じ頃、関東の拠点、静岡県富士市の村上運輸倉庫からも商品が積まれたトラックが出発した。目的地は高松にある本社だ。高松を出発してから4時間後、花谷氏は草津パーキングエリアで休憩。ここで電話連絡し、待ち合わせ場所を確認。午後8時40、到着したのは、滋賀県にある甲南パーキングエリア。高松を出発した花谷氏のトラックと富士市から出た藤本佳世氏が運転するトラックはここで合流した。

2人は互いのトラックを交換。2台の商品のチェックを終え、午後9時22分にパーキングエリアを出発し、それぞれ出発地点に戻っていった。午前2時10分、花谷氏は高松市内の朝日通商本社に到着。出発してから10時間10分が経っていた。

1人で東京まで輸送する場合、現地で配送も行うため、往復で3日ほどかかっていた。リレー輸送のメリットは?

朝日通商グループ 大川陸運株式会社 花谷薫賢氏:
毎日帰れるので子供との時間が増えて助かっています。労働時間が少なくなって給料は上がりました。

朝日通商ではドライバーの賃金は走行距離に応じた歩合給がプラスされる。リレー輸送になったことで、待ち時間が大幅に減った分、走行距離が長くなるため、歩合給もアップした。現在24人のドライバーが四国と関東の間を1日6往復するリレー輸送を試験的に行っているが、7月から本格的に導入するということだ。