難民と“共生”する欧州 出入国を“管理”する日本

山本恵里伽キャスター:
入管法改正案は、2021年2月にも国会に提出されました。その3月には名古屋入管でウィシュマ・サンダマリさんが亡くなりました。これを機に入管の不信感が強まり、廃案となりました。
小川彩佳キャスター:
2年が経って再び提出されたわけですけれども、5日の夜も大規模なデモが国会前で行われるなど、反対の声が強まっているようにも感じますよね。

山本キャスター:
その一つの理由として考えられるのが、難民申請をめぐる規定なんです。
・現行法→申請中は強制送還されず
・改正案→3回目以降は、強制送還の対象に
法案に反対する人たちからは、たった2回で難民の審査ができるのかという疑問の声が上がっているんです。
この根拠の一つとなっているのが、難民の審査を行う1人である柳瀬房子氏のこちらの発言です。
難民審査参与員 柳瀬房子 氏(2021年衆院法務委員会)
「見落としている難民を探して、認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない」
つまり、日本には難民と認定される外国人がほとんどいないという発言なんですね。ところが2023年5月、入管側は、柳瀬氏が担当したケースについて、このように明らかにしています。

西山卓爾 入管庁次長
「明らかに難民に該当しないことを書面で判断できる事案などを配分」
小川キャスター:
星さん、これはどういうことなんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
この法律改正の根拠となる「日本には難民申請に該当する人はほとんどいない」という根拠がもう明らかに揺らいでいるわけですね。相当データがずさんだったということがわかったわけで、そういう点ではこの法律の改正案は今回の国会では見送るというのが妥当だと思います。少なくとも経過についてしっかりと国会で説明する責任があると思いますね。
小川キャスター:
根拠に大きな疑念が上がる中でも改正案は6日にも採決される予定ですけれども、可決した場合、本当に難民の皆さんがしっかりと保護されていくようになっていくのかですよね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
▼欧州→難民と「共生」
▼日本→出入国を「管理」
そもそものことを考えておきたいんですが、今世界中で難民がたくさん出ている中で、欧米では難民と「共生」する社会を目指そうと移民・難民庁などを作っています。一方、日本では法務省という治安を維持する役所が、出入国を「管理」するという発想でやっているわけですね。
国連からも指摘を受けているんですけども、そういう組織と意識を変えなくてはいけないはずなのに、改正案で取り繕っていこうというのが今回の動きなんですね。
政治家、とりわけ総理大臣や法務大臣がリーダーシップを持ってこういう抜本的な見直しをしていかなくてはいけないんですけど、少なくとも今回の経緯の中では岸田総理とか齋藤法務大臣がそういうリーダーシップを発揮するという場面は見られてませんね。














