ただガーシー容疑者は、以前は日本には帰らないという話もしていましたが、今回の帰国については「母国の日本に来て、すっきりした気持ちとほっとした気持ちが強い」と話しているということで、帰国の理由についても接見した弁護人は、「お金に困ったなどの理由での帰国ではない」と詳細は差し控えていましたが、このように話しています。

慶応大学特任准教授 若新雄純さん:
帰国時の出で立ち、風貌、表情が話題になりました。一連のガーシー劇場が、全部がフィクションだとしたら面白かったんじゃないかと思います。彼の生い立ちとか、インターネットへ登場して暴露した内容とか、特殊な活動も含めて、そして国会議員にまでなる。そういう映画があったとしたら、面白い話だなと思います。作り話的な世界で言えば、主役にふさわしいキャラの持ち主でもあったと思います。
なぜ本当に現実に起こったかというと、一つはインターネットなどの世界での政治や選挙の扱いが、一部エンタメ化した。ところがエンタメ化したことを民主主義の劣化と言う人もいますけど、どういう水準から劣化したのか。元々政治や選挙のことを、僕らが日常的に大真面目に議論できていたかというと、できていなかったじゃないですか。
一部の人たちしか真剣に議論しない中で、インターネットが登場して、投票に行こう、選挙に興味を持とう。興味を持つ方向の一つが、エンタメ的な方向で火がついた。一方で一連の騒ぎが良くないのであれば、「選挙や政治とは何だ」ということを、もっと面白く真面目に議論できる風潮も必要だと思います。

ホラン千秋キャスター:
常習的な脅迫という容疑ですが、選挙に出る、出ないという話の前から、動画配信は始まってたわけですよね。

若新雄純さん:
それを踏まえても色んな政治の仕組み上、彼が当選することがありました。
本当にそんなことが起こり得るんだと熱狂してしまった人もいたと思います。しかも、それに耐えうるキャラクター。
国会議員として本当にふさわしいかどうかは別問題として、思わず多くのインターネットユーザーが、「どうなるんだろう、どうなるんだろう」とわくわくしてしまうほどのキャラを持っていた。それが政治的にどうなのかは、僕らが真剣に社会全体で議論できる土壌があったのかということだと思っています。