ロシア極東に流れ着く…“船の墓場”が示す国民の窮状
そして、丹東には他にも北朝鮮関連のものを売る場所があった。マンションの一室に絵画が並ぶ。

絵画を販売する女性
「どの絵が好きですか?全部、北朝鮮の人が描いた絵です」
ーー北朝鮮から絵を描くために中国へ来た人たちがいる?
「そうですね。その絵です」
北朝鮮から丹東に来て絵を描く人たちがいて、その作品を販売しているという。中にはプロの画家の手によるとされる、1枚数百万円以上するものも売られていた。
韓国・釜山にある東亜大学。北朝鮮の人が描いた絵を集めて分析している、カン・ドンワン教授。
東亜大学 カン・ドンワン教授
「北朝鮮は様々な方法で外貨を獲得していますが、代表的なのが絵の販売です」

カン教授は韓国の海岸に漂着したゴミを集め、北朝鮮の経済情勢を探っている。一番最近拾ったというカバンは子ども向けのものとみられるが、銃やミサイルが描かれるなど戦闘的な雰囲気になっている。
そしてカン教授は2023年4月、新たな場所を調査していた。

カン教授
「ロシアの海岸で見つけたパイナップルジュースです。牛乳です。北朝鮮のゴミです。ロシアの海岸です」
北朝鮮との国境に近いロシア極東の海岸。北朝鮮からのゴミを多く発見する中で、海岸にはこんなものまで漂着していた…

カン教授
「北朝鮮の漁船とみられる船が難破していて、流されてきています」
北朝鮮のものとみられる船が何艘も漂着し、付近は“船の墓場”とも言われているという。
中には北朝鮮の軍服が残されていた船もあった。この“船の墓場”は北朝鮮の人々の窮状を映し出している、とカン教授は言う。

カン教授
「金正恩が水産業をとても重視したため、劣悪な環境の中で軍隊まで漁に駆り出されています。漁獲量を確保しようと何日も遠洋に出て作業をしたせいで荒波に遭い難破して、ロシアの海岸に流れ着いたのです。北朝鮮の漁業環境が大変ひどい状況であることがよく分かる典型的な場所です」

















