私は動物園を巡るのが好きで、全国各地へ行っています。先日、知り合いのご縁で東武動物公園元飼育係さまと、現在も園でお仕事をされている方と共に東武動物公園内を歩かせて頂きました。今回は、動物園の魅力を深掘りします。
なかなか気づけない“展示の工夫”
何気なく歩くだけではなかなか気づくことができない、展示の工夫を教えて頂きました。まずは、金網の色です。基本的に、太陽光の反射率が高い真っ白い光沢系は避けたものが多いようです。かつ、網目模様のヨコ線は少なくしているのだそう。これは、人間が視覚的にヨコの線よりも、タテの線のほうが気にならないことを活かしたものだとか。

続いて、動物との境界について。

その工夫はコモンリスザルの展示に見られました。カピバラと同居していること自体が珍しい印象でしたが、注目すべきポイントは私たちの観察場所である柵のすぐ近くに水辺が作られていることです。

柵の近くに水を張ることで、水を嫌うリスザルが観察者の方へ向かってくることはなく、動物との間にガラスや檻を設ける必要がありません。このような展示方法をウェットモート式と呼ぶそうです。おかげで、とても広々とした場所かつとても生き生きとした自由な動物の様子をクリアに観察することができました。何気なく存在する水辺が、展示方法の工夫につながっているとは全く気がつきませんでした。