リサイクル商品のおもな材料は「点字毎日」
封筒などの材料になる点字を印刷した紙は、一般的な封筒の紙よりも厚みがあって上質な紙というのがわかります。リサイクル商品のおもな材料は「点字毎日」という毎日新聞社が週刊で発行する点字新聞で、読み終わったものを公共施設や読者から回収して材料にしています。商品化までに、点字を潰して突起を小さくする、型抜き、糊づけなどの工程があり、作業はすべて視覚障害のあるパイオニアの利用者が行っています。
当初は東京都盲人福祉協会の会員向け刊行物や手紙などを封入する封筒作りからスタートしました。現在は封筒、ポチ袋のほか、メモ帳、ブックカバー、アクセサリーなど20種類以上の商品を月に1000点から1500点程度作っています。新商品は、おもに事業所の職員が考えるそうですが、利用者からアイデアを出してもらった事例もあり、職員と視覚障害のある利用者が一緒に商品開発しているということです。

パイオニア職員で販売担当の室田純子さんに商品を作る上で留意してることを聞きました。
就労継続支援B型事業所 パイオニア 職員 室田純子さん
「利用者さんの手が必ず入るような工程があるかどうかというのを重視していて、たとえばうちの商品は本当にいい紙を使っているので、エンボス加工するとすごい柄が出てきれいなんですけど、全盲の方でもエンボス加工が出来るような位置取りにしたり、利用者さんの手がかかる工程を入れられるようデザインを工夫しております。ふつうの店舗においても見劣りしないような商品のデザインを考えて作ってます」
事業所の利用者は、全盲、弱視など障害の程度は様々ですが、見え方で作業を区別することはなく、さまざまな補助具を使って誰でも作業できるよう工夫しているそうです。たとえば紙を折る補助具、紙とのコントラストをはっきりさせる黒い板などの補助具を使ってみなさん、同じ作業をされていました。
このようにして作られた点字古紙再生商品は、東京都新宿区高田馬場にある日本点字図書館の1階にある販売ブースや新宿区の福祉施設共同バザールや、インターネット通販サイト「minne(ミンネ)」で販売されています。横浜の赤レンガ倉庫の2号館2階にあるSDGsに関する商品を扱うコンセプトショップ「Sustainable Think.(サステナブルシンク)」でも常時販売されているそうです。こうした点字古紙リサイクル商品はネット通販では月に20万円から30万円、イベント販売でも1回2万から5万円の売上があり、すべて利用者の工賃になるということです。















