最近では、様々なリサイクルが広がっていますが、点字を印刷した紙のリサイクルがあるのを知っていますか?新宿区にある視覚障害者の就労継続支援B型事業所パイオニアが取り組んでいるリサイクル商品を紹介します。

点字古紙をリサイクルし、封筒やポチ袋に

写真にあるのは、封筒やポチ袋です。小さな突起のある白い紙を使っていて、ふつうの封筒やポチ袋より、デザインがおしゃれな雰囲気です。この商品の表面のポツポツは視覚障害者が、文字を読む時に使う「点字」です。封筒やポチ袋は、点字を印刷した紙をリサイクルして作っています。

点字は指で触って分かるよう紙や樹脂などに小さな突起で作る文字です。目が見える人には意味が読み取れないポツポツでも、視覚障害者には大切な文字情報です。ただ、点字に色がついていないので、使用している紙は白く綺麗な状態です。その古紙を使って封筒やポチ袋を作っているのです。

パイオニアは、2011年の事業所開設から点字用紙の再生商品製作に取り組み、視覚障害者の就労支援をしています。設立した公益社団法人 東京都盲人福祉協会会長の笹川吉彦さんは16歳で失明、全盲になり、その時働くことができなく辛かった経験から、視覚障害者に働く場所を提供したいと2010年に小規模作業所を設立し、就労継続支援B型事業所に発展させました。笹川会長に、点字古紙再生を始めるきっかけを聞きました。

公益社団法人 東京都盲人福祉協会会長 笹川吉彦さん
「働く意欲は十分にあるんだけれども、なかなか働く場がないという視覚障害者が大勢おられることを知り、なんとか働く場を提供できないだろうかと、このパイオニアを開いたわけです。それで『さあ何をやろうか』ということになったんですけど、たまたま『点字用紙を活用しよう』という声があって、なんとか加工して有効活用しようと、みなさんに作業に当たってもらいました。この点字用紙というのは悪い紙だとすぐ潰れてしまうんですね。ですから、かなりいい紙を使ってるんですけど、結局、使ってしまったらみんな灰にしちゃうんですね。私はそれをすごくもったいないと思って、なんとか活用できないかといって、じゃあ加工して有効活用しようということで、みなさんが頑張ってくれて封筒になったり、そのほかの製品になったり、とても良かったと思います」