後藤部長のリアルポリティクスです。国会で議事進行を司る立法府の長=細田博之衆院議長が野党から厳しい攻勢を受けています。週刊誌報道による“セクハラ疑惑”に加えて国会議員の定数増を求める発言が“議長の矩(のり)を超えている”と批判を浴びています。三権の長である衆院議長に求められる資質について考えます。(聞き手:長峰由紀キャスター)

後藤政治部長:
きょうは衆院議長というポストに焦点を当てたいと思います。衆院議長と聞くとどういうイメージを持ちますか?

――重要でいろいろな意味で国民の生活に直結しているという立法の長ですよね。

後藤部長:
そうですね。“三権の長”の一つで総理大臣と同格です。国会の議事進行は議長が決めるし衆議院を解散する場合には議長が宣言します。こうした枢要なポストですが、いまそのポストに就いている細田博之衆院議長が厳しい立場に立たされています。

――厳しい立場というのはおだやかではないですが、どういった厳しい状況に立たされているのでしょうか?

後藤部長:
「週刊文春」が先日報じました、細田氏が過去に複数の女性記者に対しセクハラ発言を繰り返していたという“セクハラ疑惑”を報じています。細田氏はきのう(19日)報じられましたが、当日は細田氏はこの報道に対してコメントを出していませんでした。そのため野党・立憲民主党などが細田氏に事実かどうか説明を求める姿勢を見せています。

立憲民主党 馬淵国対委員長
「ある意味セクハラは犯罪行為と認定もされているわけですから、事実であるならば由々しき問題だと思いますし、事実でないならばその旨も含めて議運の場にて明らかにしていただきたい」

後藤部長:
立憲民主党の国対委員長がこう言っています。とにかく細田さんにこの報道が事実かどうかまず示しなさいということを求めたのが一つ。
きのう(19日)は衆議院の本会議の審議ではこんなやりとりがありました。侮辱罪の厳罰化についての審議が行われましたが、質問に立った立憲民主党の議員が侮辱罪が厳罰化された場合どういった人たちが厳罰化されるのかについて細田氏の“セクハラ疑惑”を例示して批判しました。これに対して自民党などは“品位に欠ける”発言対応として反発して審議のやりとりをまとめた議事録から削除することを求めました。これがきのう(19日)までの段階の話。
この問題についてはきょう(20日)新たな動きがありました。衆議院の議院運営委員会は議会の運営などを司る重要な委員会ですが、そこで山口議運委員長が細田氏に報道についてたずねたそうです。細田氏は「大変迷惑をかけて申し訳ない。ただ全く事実と違う。週刊誌には厳重に抗議をしたい。折を見て何らかの形で説明をしたい」という考えを示したということです。

――細田さんも一定を説明する考えはあるということか?

後藤部長:
そうですね。ただどういった形でどのタイミングでというのがはっきりしません。
「折を見て説明」ということは、折りというのはどういう折か?何月何日に行いますということがはっきりしていないということと、議長というのは実際、与野党双方からお相撲の行司、あるいは野球の審判であることから、ある程度議事進行を「こうだ」と決めるのが議長ですから、一定の尊敬を与党だけでなく野党から集めるためには中立性・公平性が求められる。
ですからセクハラ疑惑が全く違うということならば、与党だけでなく野党にもある程度「なるほどこれは違うのかな」と思えるような一定の挙証責任は出てくるのかなと思う。「事実無根」と言うだけでなく一つ一つ反論していく必要があると思う。

――野党の追及がなぜここまで細田氏に厳しい態度を取るのでしょうか?

後藤部長:
衆議院本会議での対応を見ても、まだ疑惑の段階で厳しいなと思いました。実はこの週刊誌報道以外にも野党側から見て、細田さんの議長としての資質を疑問視するような発言がありました。

細田衆院議長(5月10日)
「(歳費が)100万未満であるような手取りのね、議員を多少増やしたってバチは当たらないと私は思っているんです」

――これはどう言った発言ですか。

後藤部長:
細田氏は議員の歳費は月に手取りで100万円に満たないのだから、多少議員を増やしてもいいのではないかというのがこの発言。
細田さんは何が言いたいかというと、いま衆議院は1票の格差是正のため10増10減=選挙区を10増やして10減らすという作業が進む状況。要は人口の多い東京とか首都圏の選挙区を増やして、人口少ない地域は選挙区は減ってしまうことになる。細田氏は自身の島根県を選挙区としています。また彼は選挙制度に詳しい永田町では“選挙博士”とも言われるような人なので一家言あります。
細田氏はこのままでは地方選出の議員が減ってしまって発言権が弱まってしまうということへの危機感の表れとして、あのような発言があったのだと思います。要するに地方の議員を減らすのではなくて、東京とか人口の多いところに増やせばいいじゃないかというのが発言の真意。
ただ問題なのはいまの立場はどうなんだ。議長ですよね。10増10減も最終的には議長が決める立場。まさに行司役を担うべき議長が明らかにいまの10増10減は違うんだ、ほかのやり方があるということを示唆した発言は直後から与党からも批判がありましたし、野党からも“矩を超えている”と批判を浴びました。
細田さんもこの時は相当参ったようで「今後は立場を自覚して発言を控える」と、立場というのは私は議長であるということを自覚しますと反省していたのですが、議長としては細田さんは本音でものごとを言いすぎる“脇の甘さ”を感じますね。

――そういう方なんですか?過去に(細田氏を)取材をしていたと思いますが?

後藤部長:
自分の思ったことをあけすけに言う、そんなに失言が多いタイプの政治家とは思いませんでしたが、特に選挙に関しては“選挙博士”と言われるだけあって、“自分が一番選挙に詳しいんだ”という自負があるんでしょう。ですからあのような脱線した発言になったのかと思う。