じわじわと「タバコは不健康」に
じつはタバコが不健康であるというのは、1960年代に既に指摘されていました。イギリス王立内科医学会が1962年に発表したレポートに「タバコを1本吸うと寿命が5分30秒縮まる」と書かれていたのです。
そうでなくとも、タバコがケムい、吸い過ぎると気分が悪くなる、などの弊害は喫煙者にも非喫煙者にもすでに分かっており、70年当たりからじわじわと禁煙運動は高まっていったのです。

1976年には新幹線初の禁煙車が導入されました。
受動喫煙の害が叫ばれ、80年代からは分煙の時代となっていきます。電車ホームにも喫煙コーナーがもうけられ、喫煙者の「どこでも喫煙」は少々分が悪くなっていきます。

1987年には山手線原宿・目白駅で終日禁煙が始まります。今となっては当たり前ですが、この終日禁煙は、愛煙家の大反発を食ったのです。
しかし時代の波には抗えませんでした。1999年にはJALとANAが機内の全面禁煙をスタートさせます。世界の先進各国の航空機もとっくに禁煙になっていました。
続々と繰り出される「禁煙策」
90年以降、もはや分煙・禁煙は日本だけの問題ではありませんでした。世界的な嫌煙権運動の中、日本でもさまざまな施策が繰り出されます。
中でも大きかったのが、2002年8月に公布された『健康増進法』でしょう。これにより、学校、病院、劇場、集会場、事務所、官公庁、飲食店など、すべてで分煙が義務化されます。
またこれに合わせて2002年10月には千代田区でタバコポイ捨て禁止条例が施行。喫煙者には厳しい時代が訪れました。

街でも吸えない、でも家では? 家でも喫煙者は日に日に肩身が狭くなっていきました。そんな喫煙者たちは、ベランダで一服するように。その姿は「ホタル族」などと揶揄されました。
タバコのパッケージと価格
21世紀に入ってからも、タバコについてはいろんなコトが矢継ぎ早に起きました。愛煙家にとっては、おおむねネガティブな動きばかり…。

◎自動販売機は「taspo(タスポ・たばこ自動販売機の成人識別システム)」カードが必要に
◎その自動販売機自体が激減(タスポ導入時の約50万台から2021年現在で12万8千台に)
◎タバコ税の大幅値上げ
◎東京五輪に伴う完全分煙条例
◎喫煙所が相次いで撤去へ
現在、日本のタバコのパッケージには、次のような文言をパッケージに入れることが義務づけられています。

もはやこの現状でもタバコを吸っている愛煙家は、そちらの方が「堅い意志!」と言えるかもしれません。
しかし、先進各国の警告義務はこれどころではありません。より直接的な「病気」や「死」を連想させるもの。おまけに価格も日本の数倍です。

国内外で、ずいぶん愛煙家の肩身は狭くなりました。
今後もタバコの未来は少しずつ先細りになっていきそうです。