マリウポリ制圧が報じられたロシア軍。しかしハルキウなど東部戦線ではウクライナ軍がロシア軍を退け奪還しているところも出て来ている。ロシア側の侵攻が思うように進んでいないどころか、このままウクライナ側の優勢が続く、つまり勝つ可能性も出てきたとの見方もある。これまでロシア側の落としどころは度々論じてきたが、今回は、ウクライナ側の戦争の落としどころを議論した。

■戦争目標について


先月24日、アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官がウクライナのキーウに乗り込んでゼレンスキー大統領と会談した。ホワイトハウスの事情にも精通する明海大学の小谷教授は、この会談で“戦争目標”つまり、“どこまでやるか”が話されたと語る。

明海大学 小谷哲男教授
「戦争に関してどこまでやるのか、アメリカとウクライナ双方の考えを交換した。一つの基準は戦争が始まった2月24日(侵攻前)の状態に戻す。ゼレンスキー大統領もそこを基準には考えていると思います」

まるで第2次世界大戦の落としどころを勝利目前の連合国が話し合ったヤルタ会談のようだ。
一方的に侵攻された国の大統領と、参戦しないことを明言した国の重要閣僚との会談とは思えない…。

明海大学 小谷哲男教授
「ウクライナが何を戦争目標にするかによって今後のアメリカの支援の仕方が変わってきます。停戦交渉をするにしてもアメリカはどうかかわっていくのかということもありますし…」

戦争目標の基準となる2月24日以前の状態とは、すでに併合されていたクリミア半島と、独立を主張している東部の2つの共和国がロシアの勢力下にある状態だが、小谷氏はそれはあくまでも基準としての考え方だという…。

明海大学 小谷哲男教授
「さらにクリミアをどうする、場合によってはロシア領内まで…これはわかりませんが可能性としてはそういうことも含めて意見交換されたんだろうと…」

実は、ウクライナ側の戦争目標が、侵攻直前の状態ではなく、もっと前の状態だという声も聞こえてくる。NATOの元高官に話を聞いた。

元NATO戦略予見チーム長 ステファニー・バブスト氏
「ここ数日のウクライナ外相とゼレンスキー大統領の話を聞くと、クリミアを含めすべてのウクライナ領土を取り返すことを目指しているように聞こえます。政治的に考えると2014年の状況に戻りたい理由はわかります。それはロシアがウクライナの領土を持っている限り平和は絶対に訪れないからです」

2014年の状況とはクリミア併合以前、つまり本来のウクライナの姿だ。しかしそのハードルは高いとバブスト氏は続ける…。 

元NATO戦略予見チーム長 ステファニー・バブスト氏
「これは軍事的に非常に難しいことです。ドネツクとルハンシクは取り戻すことができるかもしれない。でもクリミアはロシアが軍事的に強いエリアです。違法とは言えクリミア併合は事実であり、それを奪還することはとても難しいことです。今はまだ早い。かなり長期的な目標です」

ウクライナが取り戻したいクリミア。2014年以降、事実上ロシアに編入されてはいるが、ウクライナとしては認めたわけではない。しかし、クリミアはロシアにとって絶対に手放せない場所だった…。