多くの酪農家は、国産の飼料だけでは量が足りず、ほとんどを輸入に頼っていますが、小松さんの牧場ではこんな工夫も。

■小松正平さん
「これがうちの牧草畑で田んぼの区画でいうと200枚ぐらいある」

総面積40ヘクタールの畑や休耕田で、牧草やコメ、トウモロコシを自ら栽培。

牧草は乾燥させて丸めた「牧草ロール」に、トウモロコシは発酵させて飼料にしています。

エサの実に9割を自給していますが、それでも栄養価が足りないため輸入に頼らざるを得ず、経営はひっ迫しています。

■小松正平さん
「少しでも入れてあげないと病気にもなりやすくなるし乳も出ない。どうしても必要になってします」

価格が高騰しているのは飼料だけではありません。

牧場では自動で牛乳を搾る搾乳機を導入していて、機能の維持や衛生面を考慮し、年に1回、部品を交換しています。

■小松正平さん
「ゴム系パーツ。パッキンとか中にあるシール関係。こういうものを毎年変えないといけないので、それにお金が」


交換にかかる費用はこれまで100万円ほどでしたが、資材の高騰により、現在は140万円に上昇。

さらに牛舎の温度を調整する扇風機などの電気代の高騰も重なり、牛乳を生産するコストはそれまでの1.5倍に。


なんとか黒字を維持している状況です。

■小松正平さん
「乳価は一応10円近く上がっているがはっきり言うと追いつかない。もう少し上がってくれれば」

牛乳の価格は2022年の11月に全国でほぼ一斉に値上がりし、1キロ当たり110円が120円となりました。

8月には更に10円の値上がりが予定されています。

これに伴い、店での販売価格も牛乳パック1本あたり15円から20円ほど値上がり。

JAでは、消費の落ち込みを懸念しています。


■JA全農長野畜産酪農課小林智一郎(こばやし・ともいちろう)課長             「乳価も上がっていますけどまだまだ(価格)上昇分をまかない切れていない状況。令和4年度は長野県全体で25件の酪農家がお辞めになられた」