「会社の制度を使って今は幸せ」企業にも広がる理解

すきやきなどを提供する飲食店「ゆず庵」
この店の店長を務める清水亜利守さん(31)は、これまでテーマパークのホテルで勤めていたが、働きやすさを求め、2年前に転職してきた。

ゆず庵 練馬光が丘店 清水亜利守 店長
「元々、小さい頃から綺麗になりたいとか、可愛くなりたい、みたいに思っていたんですけども、私の場合は、心は女性なんですけど。性指向、好きな相手が女性だったので、今まで、もう27歳まで、ずっと自分は男だなって思ってたんですね。けど、27歳の時に、心境変化のときに、やっぱり自分の中で『女性っぽいな』という自認があった」

清水さんは男として生まれ、21歳で結婚。2人の子どもがいる。しかし、3年ほど前から女性としての自分もいることに気がつき、今では、自らをLGBTではなく、性を男女の枠に当てはめない「Q=クエスチョニング」としている。

店の制服は、以前は男性用・女性用と分けられていたが、現在は統一。
トイレも、男性用、女性用の他に、オールジェンダー用の3か所が用意されていた。

同僚は、清水さんについて…

清水さんの同僚
「もちろん、人によって違いがあるので、その個性として、亜利守さんを受け入れているかなと思います」

こちらの会社では、LGBTQの当事者が多く働いていて、社内には、当事者専用のコミュニティも作られている。
この日、コミュニティに参加したクエスチョニングの久保田さん。

ゆず庵 店長 久保田若菜さん
「会社の制度を使って今は幸せいっぱい。一番幸せだと自慢しておきます」

久保田さんは、“法律婚カップル”と同等の待遇を受けられる社内の『ライフパートナーシップ制度』を利用。結婚祝い金や、配偶者手当などが支給される。

ゆず庵 店長 久保田若菜さん
「今までだと、ぼんやり濁してた『彼女が…』とか何か『パートナーが…』って言ってたのを、はっきり『家族』って言えるようになった。『家族がいるから早く帰りたい』とかって、はっきり他の方々と同じような主張ができるようになったっていうのは、一つ活力に通じるところかなっていうのはあります」

ゆず庵 練馬光が丘店 清水亜利守 店長
「うちの本当に会社の企業理念、これが『かっこよく生きようぜ』みたいな、『素敵に生きようぜ』みたいなのがすごくあって、そうやって思うからこそ、私も今堂々と働けているんですよ。できる環境だったりとか、できる制度とか、何か後押しできるものが1個でも多くあればあるほど、そういう人たちが生き生きする機会ってのは増えてくる」

清水さんが店長を務める『ゆず庵』を運営しているのは、『焼肉きんぐ』などを手掛ける『物語コーポレーション』

9年ほど前からLGBTQの当事者を積極的に採用し、わずか5年で店舗数がおよそ1.4倍になるなど業績を伸ばしている。

物語コーポレーション 横浜任 人材開発部部長
「セクシャルマイノリティの方を採用したいとか、その方たちを大事にしなきゃいけないという思いではなくてですね、1人1人が活躍するために、阻害要因があるなら、その阻害要因を外したい。その人の能力が十二分に発揮できる環境が、そこでできてくるんです。色んな考えが生まれて、議論することで、大きなアイディアの選択肢の中から一つの方向性を導き出せる。その選択肢を多く維持できていることが、今の成長の元になっている」