中国の台湾攻撃の可能性 ホントに『ウクライナは明日の東アジア』なのか

ーーアメリカでは2027年に中国が台湾を攻撃するという前提の話になっている。「本当に中国が台湾を攻撃するのか」という点に関しては。

石破元幹事長:
それはどうやって攻撃するんですか?上陸するのか?まず、台湾という島は九州ぐらいの大きさで、上陸ができるようないわゆる砂浜みたいなところは10分の1しかありません。本当にすごく狭いところしかない。陸続きのウクライナを攻めるのに、あんなにロシアが苦戦してるわけです。海を渡る能力って、少なくとも攻める方は守る側の3倍は必要なんです。それだけの船、飛行機、上陸する適地がありますか?日米同盟がフルで動いたらどうなりますか?「それでもなおこういうリスクがあります」という話をしていかないといけない。

台湾攻撃の可能性は多いかと言われれば少ない。だけど、少ない可能性はどんな場合なのかということをきちんと詰めないで「可能性が少ないからもういいもんね」という話ではありません。

ーー日本国民は、「中国が台湾を攻めるかもしれない」という前提で防衛力増強に賛成していますが。

石破元幹事長:
だから、どうしてそういうことになるんですかと。アメリカでも、太平洋軍の司令官が「台湾が危ないぞ」と言って、統合参謀本部議長が「いやそんなことはない」と否定してるわけです。「もう危ないぞ」という報道は多いが、「いやそんなに」という報道は少ない。そこはやっぱり両方きちんと分析しないと。

ーー岸田総理は、早い段階から「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と繰り返しています。これはあまり良くない?

石破元幹事長:
それは総理のことだから、私よりも遥かに多くの情報をお持ちなんですよ。そうすると、なぜ「ウクライナは明日の東アジア」なのか。そういう可能性はむしろ少ないのではないかという意見もあるわけです。「そうではありません」という情報をたくさん持っていて、何を言ってよくて、何を言ってはいけないのかなどを全部知っているのが、総理でありあるいは政府である。それらがきちんと国民に説明して初めて「なるほど43兆円なのね、1.5倍なのね」という話になるんじゃないですか。