石破氏は、米誌「TIME」の表紙に岸田総理が「真の軍事大国にしたいと望んでいる」との見出しで出たこと、軍事力増強の足下で海自、陸自と事故が相次いでいることに警鐘を鳴らします。そして、岸田総理の悲願の広島サミットが間近に迫る中、米中緊迫でバイデン大統領は日本に「軍事力増強」で何を迫るのか、サミットの勢いを駆っての「6月の衆院解散・総選挙」はあるのか熱く語ります。また、「中国は本当に台湾攻撃するのか」を政界随一の安全保障の知識をもとにズバリ解説します。(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)

米誌TIME「岸田総理 日本を真の軍事大国に」!?

ーー米「TIME」誌の表紙に「日本の選択:岸田総理は長年の平和主義を捨てて、日本を真の軍事大国としたいと望んでいる」との見出しが載りました。この見出しは外務省から「中身と異なっている」と申し入れがあり、変えられたそうですがどう見ますか。

自民党 石破茂元幹事長:
まあ雑誌の見出しですからね。注目を集めるような見出しをつけるのはアメリカでも一緒なのでしょう。ただ、安全保障環境がどのように変わっているのか?軍事バランスがどのように崩れているのか?そのために何をどれだけ増強しようとしているのか?という、「なぜこうなるの?」ということをきちんと示しておく努力がさらに必要なんでしょうね。だから、「平和主義をかなぐり捨てて軍事大国化しようとしてる」というようなミスリードにならないような努力はしていかなきゃいけない。それは我々与党の責任でもあります

ーーTIME誌も総理の言動を見て最初の見出しにしている。そう見える一面はあるということでは?

石破元幹事長:
防衛費をGDPの2%にして5年間で43兆円という話になると、いきなり倍だとなるわけです。軍事大国になるかどうかの評価は別として「(日本は)ものすごく防衛力を強化しようとしている」とは見えますよね。いきなり倍だから。それはそういった見出しになってしまう。きちんと説明すればこういう話にはならない。なるほどという得心を内外にさせる努力を我々はもっとしなければいけない

ーー我々国民が岸田氏のこうした思いを全然実感していないのに対して、外からはこういう一面があると見えている、このズレは怖いですよね?

石破元幹事長:
ズレは怖いですよね。実際に財源をどうするかというのはまだ議論の最中だけど「倍」っていう話は、今までやったことがないわけです。安全保障環境がどう変わるのか。「今日のウクライナは明日の台湾」というのは私は、すごく論理の飛躍があると思っているんだけど。それを岸田総理が言ったわけではないが、世の中にはそういう言説が結構広まっているわけです。「いやいや、そうではありませんが」と言わなければいけない。
北朝鮮がミサイルをバンバン撃っていて、核実験もまた行うかもしれない。結構剣呑な話ではある。ただ朝鮮半島は休戦状態であり、なおかつ朝鮮国連軍というのが出てくるわけです。そうすると台湾有事とは全く様相が違う。いかにしてそういう有事が起こらないようにするかということも併せて説明していかなければいけないことであって、いきなり防衛費を増やしていけば平和が現出するというわけではないんですよね。