23年のブランクを経て、5月から新たな連載をスタートさせた上田市出身の漫画家がいます。
一度は諦めた過酷な世界に再び挑みます。
上田市出身の漫画家=樋田和彦(ひだかずひこ)さん55歳。

■料理する樋田和彦さん
「料理大好きです僕の人生は料理とマンガですね。料理のほうが若干好きかもしれないですね。マンガはほんと苦しいですよほんとマンガは苦しい」
この日作っていたのはカレーです。
市内の大塩(おおしお)温泉旅館組合から、温泉街を盛り上げたいと、樋田(ひだ)さんの代表作=「京四郎(きょうしろう)」のキャラクターを使った商品開発の依頼を受けました。

■樋田和彦さん
「こっぱずかしいぐらいで、本当にこれが宮崎駿さんみたいなマンガでしたらほんとに皆さん喜んでもらえると思うんですけど、京四郎で喜んでもらえるのかなっていうのは」
「京四郎(きょうしろう)」は、樋田(ひだ)さんが初めて連載した作品です。

主人公の佐倉(さくら)京四郎とその親友・緑川誠(みどりかわまこと)が、学校を支配する不良グループと戦う姿などを描いた漫画。

1995年から5年間、秋田書店の『週刊少年チャンピオン』に掲載され、単行本は25巻まで発売されました。
大塩温泉で、化学肥料や除草剤を使わずにトマトなどを栽培するかぐやふぁーむ。
6月に発売予定のこだわり野菜の冷凍カレーは、キャラクターだけでなく、レシピも樋田さんが考えました。
高校卒業後、県内のレストランに就職しましたが、店長とそりが合わず4年余りでやめます。
一番好きなことを仕事にしようと選んだのが、昔から食い入るように読んできた漫画でした。
ギャグマンガ「浦安鉄筋家族(うらやすてっきんかぞく)」の浜岡賢次(はまおかけんじ)さんなど、東京で有名漫画家のアシスタントをしながら腕を磨き、25歳でデビュー。

「京四郎」の連載を始めたのは27歳の時でした。
市内にある樋田さんの実家。
月に18ページをひとりで仕上げる仕事場です。
■樋田和彦さん
「(漫画書く道具っていうのは)今もうPCだけです。あとネームというのはやはり相変わらず。紙でこういう感じでやっているもんなんですけど」
作品作りでまず取り掛かるのはストーリーを生み出す作業。
マンガを描くうえで最も苦しい時間だといいます。

・漫画喫茶で缶詰になる・散歩をする・ネットでとことん調べものをする・頭がさえない時はあきらめて寝る
3日間、4つのことだけに没頭します。