この判決について、弁護士の沼田さんに聞きます。

Q今回のポイントはどのあたりですか?

沼田幸雄弁護士
「新車のセンチュリーを県が購入したことが、行き過ぎ・やりすぎだったかどうか。裁量権の逸脱とはそういう意味ですが、購入にあたってセンチュリーの必要性を十分検討したかどうか。この点の判断が、1審と高裁で分かれてしまったということだと思います」

Qこれどうして判断が変わったんですか?

沼田弁護士
「どこに重点を置いて検討したかというところが、1審と高裁で変わってしまった。1審の場合は、購入段階でセンチュリー以外にも安い車種があるじゃないか、レンタルをする可能性もあったじゃないかなど、購入の時点のポイント、そこで購入の支出額を抑えるかどうか。言ってみれば、購入の”点”ばっかりに目がいっていた。それに対して高裁の方は、3台分の経費がかかっていたものが、今後は2台に変わる、長期的に今後の保有期間考えたときに、経費の節約効果大きいでしょうと”面”で考えた。そうすると、検討が不十分とは少なくとも言えないと、これで判断が変わりました」

Q同じ裁判の中で、そんなに見方が変わっていくのですか?

沼田弁護士
「今回は変わりましたね。ただ私たちは、選挙で県の運営を知事に任せたわけですよ。そうなると、ある程度県の方が自由に判断して運営していく権限を持っていることは仕方がないので、裁判所が『これはやり過ぎだ』と”待った”をかけられるのは非常に限られる。限定的。そう考えると、判断の主流、判例の主流というのは実は高裁の判断の方になるということになります」

Q.改めて選挙の重要性も感じましたが、この裁判が今後どういう影響を及ぼす可能性がありますか?

沼田弁護士
「確かに1審の判断はそういう意味では敗れたんですけれども、県の方としても知事の方としても、おそらく気にはしている。今後はこういう裁判自体を起こされないように、やはり慎重に県の財政を運用していく、そういう影響は期待できると思います」