青森県内でも大きな被害が出た十勝沖地震から16日で54年。

この地震の影響で廃線を余儀なくされた旧南部鉄道で、唯一現存する車両がおよそ半世紀ぶりに五戸町に「里帰り」したことを記念してセレモニーが行われ、車両を懐かしそうに眺める人たちの姿がありました。
1968年5月16日に発生したマグニチュード7・9の十勝沖地震で、青森県内では46人が死亡、2人が行方不明となりました。
地震発生時刻とほぼ同じ16日午前10時前、五戸町では約40人が黙とうを捧げました。
かつて五戸町と八戸市を結んでいた南部鉄道は、地震で大きな被害を受け、そのまま廃線に。こうした中、ディーゼル機関車「DC351」は、十勝沖地震が発生する前の年に鉄鋼業者へ譲渡されたことで被災を免れ、これまで、京都のSL広場に展示されていました。しかし、広場の閉鎖に伴って、4月、55年ぶりに五戸の地へ。
そして16日、関係者がテープカットをして、奇跡の機関車の里帰りを祝いました。

※五戸町 若宮佳一町長
「機関車を通じながら子どもたちに災害の恐ろしさを伝えられるような展示物になっていければ」
そして、この車両に手を触れて感慨深げな様子を見せるのは、かつて、列車を誘導する操車係と、運転士を勤めていた2人です。

※旧南部鉄道社員 小泉健次郎さん
「ここ(ごのへ郷土館・旧豊間内小学校)は私の母校でしたから(中略)母校に機関車が展示されるということは考えてもいなかったです。うれしさいっぱいです」

特に、DC351の里帰り後初めて車両を目にした高橋與志夫さんは、今後に対する期待感を口にしました。

※旧南部鉄道運転士 高橋與志夫さん
「第一番には(エンジンの)音を聞いてみたいですね。相当大きいエンジンが入っていますから」
「メンテナンスをちゃんとやって後世に伝えていただきたい」

半世紀の時を経て、DC351は新たな役割に向けて出発進行です。