中根夕希キャスター
「広島市安佐南区にあります『たこつぼ』にやってきました。味のある雰囲気の外観ですね」


広島市安佐南区伴東に店を構えて35年。大衆食堂の『たこつぼ』です。メニューが豊富で、近くに大学や高校があることから “伝説の学生食堂” として親しまれています。


中根夕希キャスター
「牛丼550円ですね。カレーライス400円。いや、すごいですね」


店主は、御年84歳の泉賢一さん。店の売りは「安い! 多い! うまい!」の三拍子そろったメニューです。


名物は「かつ丼の大盛」です。550円の値段を開店以来、守り続けてきましたが…。


値上げされていません。学生からは大盛り分の20円は取らないというサービスも変わっていませんでした。


中根夕希キャスター
「お肉が柔らかくって、味がすごくしみ込んでいます。かめば、かむほど、その味がじわっと出てくる感じが…」


もう1つの名物メニュー、牛ホルモンを使った「でんがくラーメン」もこれまでどおり500円のまま。


中根夕希キャスター
「プリプリしています、ホルモンが。そして、麺がスルッと入る。あっさり系でおいしいです」

すべてのメニューで35年間、すえ置いている値段は、昨今の値上げの嵐にも吹き飛ばされていませんでした。ただ、事情を聞いてみると…。


たこつぼ 泉賢一さん
「ガスとかいろんなものが上がってきたので、やっぱり赤字が出てくるんですよね」

実は赤字。メニューが豊富なだけに原材料費の高騰は重くのしかかっています。


泉賢一さん
「3割~4割は違いますね。白菜・キャベツにしてもきのうは120円、きょうは210円とか…」


これまで2万円台だったガス代は3万円を超える月も出てきました。


先月、53円だった中華麺は今月は57円に。卵は160円が180円に。玉ねぎ1袋212円が、400円を超えた日もありました。


特売日にまとめ買いをしたり、知り合いの農家から安く野菜を分けてもらったりしていますが、利益が出るまでには至っていません。それでも泉さんは値上げを考えていません。


泉賢一さん
― どうやって補てん?
「自分の年金があるので、それでまかなう。生活ができるんです。みなさんに喜んでもらうのが一番、自分の幸せだと思っています」


跡を継ぐ人がいない泉さん。どんな嵐が吹いてこようが、学生たちの味方として営業を続ける覚悟です。