今年は全国的に早い開花
あっという間に散ってしまう桜に、毎年儚さと儚いからこその美しさを感じます。今年は各地で記録的に早い開花となりましたね。東京では、4月に入って早々に散ってしまったものが多く、早くも生き生きとした若葉を茂らせています。新緑の季節です。わたしは、あっという間に緑に染まり、生命力を感じるこの時期の桜も好きです。
さて、皆さんは、どのタイミングの桜が好きですか?満開の桜や散りかけの桜吹雪が人気だと予想しているのですが、中には一輪、二輪開花したばかりの咲き始めが好き、葉桜が好きという方もいらっしゃるかもしれせんね。
昔は五分咲きの桜が好きだった
わたしは、20代前半までは満開になる前の五分咲きくらいの桜が好きでした。

ぱっと見ると、結構咲き進んでいて既に見ごろなのですが、よく枝を見てみると、まだこれから花開く蕾がたくさん控えているのです。これからさらに咲くんだ、まだまだ楽しめるんだ、といった期待がわきでてくる、一種『伸び代』のようなものに心惹かれていました。満開になってしまってからは、これから散っていくことを思って寂しい気持ちになったものです。
どうして五分咲きが好きだったのか考えると、わたしのせっかちな性格に理由があるような気がします。社会人一年目のころ、慣れない仕事に日々忙殺され、毎週末の休みを心から楽しみにしていました。ただ、せっかちすぎて一番心躍るのは金曜日の朝でした。いつも下ばかり見て出社していたのに、金曜日だけは「きょうの仕事が終われば週末だ!」と晴々とした明るい表情で出社していました。金曜日の夜もまだ楽しさはありましたが、土曜日になってしまうと一変、もう月曜日のことを考えて憂鬱になっていたものです。五分咲きの桜はわたしにとって金曜日の朝のようなものだったのだと思います。
そして、学生時代や新社会人時代は、自分には何ができるのか、何が向いているのかがわからず、結構な時間を鬱屈した気持ちで過ごしていました。それでも、まだまだ人生は長いのだから、これから人生を歩むうちに自分のこともわかってくるだろう、輝けるだろうと信じていました。これから花開くと信じて疑わなかった自分の人生と、五分咲きの桜とを重ねていたのかもしれません。