そもそも維新は「候補者擁立」を考えていなかった

そもそも、和歌山1区の候補として有力視されていたのは門氏ではなく、和歌山を選挙区とする鶴保庸介参議院議員だった。“勝てる候補”として白羽の矢が立った鶴保氏だったが、その後、和歌山県連の候補者選びは難航する。

鶴保氏と門氏は同じ二階派だが、門氏を推したのは参院幹事長の世耕弘成氏(安倍派)。県連内の様々な思惑も絡み、結局選ばれたのは4連敗中の門氏だった。実はこの瞬間から、維新は新たな候補の擁立へと動き出したのだ。

それは一体なぜか。

鶴保氏は維新の生命線でもあする「大阪・関西万博」の議員連盟で事務局長を務めている。万博の振興をはかる議連が発足したのは去年12月。そのとりまとめ役を引き受けた鶴保氏には恩義があり、維新としても候補を立てる選択肢はなかったのだという。

自民・和歌山県連の会見 2月18日

だが、結果的に選ばれたのは門博文氏だった。県連会長の二階氏も容認したものの、決して積極的な擁立ではなかったとされる。維新の幹部は当時、門氏が候補になった一報を聞くと絶句し、その後こう話した。

「これで遠慮なく戦える」。