おうちにかえろう病院 水野慎大院長
「何を本人は目指しているの?」

神尾彩果 医師「おうちで過ごすことには、こだわっていると思いました。賑やかなところに戻りたいとおっしゃっていたので、自宅退院は絶対なんだろうなと」

「家に帰りたい」
それがタツさんの本心だとスタッフは受け止め、今後帰宅を目指しケアを行うことになった。

「最期まで自宅で」願うも3~4割は帰れず “在宅医療のプロ”指摘する病院側の知識不足

院長の水野慎大さんは、これまで在宅診療を専門にする「やまと診療所」の医師だった。実は「おうちにかえろう。病院」をつくったのが「やまと診療所」だ。
やまと診療所は、“最期まで自宅で”と願う患者を10年前から支えてきた。

最近の調査では、半数以上の人が「自宅で最期を迎えたい」と願っている。

【最後を迎えたい場所】(日本財団 2020年調査)
▼自宅 58.8%
▼その他、医療・介護施設など

【死亡場所】(厚生労働省 2019年調査)
▼病院 71.3%
▼自宅 13.6%
▼その他

しかし、自宅で最期を迎えた人は全体の1割余りで、7割を超える人は病院などの医療施設で亡くなっているのが現状だ。そんな中、やまと診療所は年間500人以上の患者を自宅で看取ってきた。

在宅医療専門の法人が病院を建てるのは、全国的に極めて稀だ。なぜ、病院が必要だったのか。

水野院長「在宅診療の患者の大体20人に1人ぐらいが入院をされる。多くはまたおうちに戻って来られるんですけど、色んな理由でそのうち3割4割の方が帰れない」

「最期まで自宅で暮らしたい」と願っていても、容態が悪化するなどしていったん入院すると、本人の思いに反しそのまま病院で亡くなるケースは少なくないという。水野院長は、病院側の在宅医療への知識不足を指摘する。