宅地や田畑、森林など土地の所有権を相続した人が、例えば「遠くに住んでいて利用する予定がない」場合に、土地を手放して国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」が4月27日から始まりました。
制度を利用する際の条件や費用など解説します。
相続土地の新制度「相続土地国庫帰属制度」はじまる
加藤シルビアキャスター:
「相続土地国庫帰属制度」という土地についての新たな制度が、4月27日に始まりました。

その土地にあたるのが、宅地や田畑、森林など。所有権を相続した人が土地を国に引き渡すことができる制度です。その対象は、相続した土地や遺贈された土地に限るとして、生前贈与は含まれていません。
これまで相続をされたときに、土地のみ放棄するということはできませんでした。相続を放棄したい場合には、土地と預貯金などの全ての資産を一緒に失うことになっていました。
この制度の狙いは、相続しても登記がされていないまま所有者がわからなくなっている、「所有者不明」の土地を防ぐためです。
具体的にどのような土地なのか、条件がいくつかあります。

・上に建物が建っていないこと
・建物が地中に埋まっていないこと
・汚染された土地ではないこと
など
費用、審査期間
・審査手数料:1万4000円
・負担金:原則20万円(土地によっては面積に応じて変動)
・審査にかかる期間:半年~1年程度かかる見込み

この制度に係る反響ですが、斎藤法務大臣は4月25日「約2か月間で3000件を超える相談が寄せられていて、多くの皆様に関心を持っていただいている」と話しています。
背景として、所有者不明の土地が国土の約22%、九州より広い面積が所有者不明だという現状があります。
2023年2月、松野官房長官は「所有者不明の土地の問題は地域にとって深刻な課題であり、重要な政策課題である」と話しています。
ホラン千秋キャスター:
土地を有効活用したくても、所有者がわからないと動けないということで、こういった方法を利用したいという相談が多いようですね。
歴史時代小説家 今村翔吾さん:
私も京都の田舎の出身ですけど「もう誰のものになってるのかわからない」という話はよく聞きますね。気になるのは、結局、一旦相続してから手続きをするということですよね。相続してから何か月、何週間以内に手続きするというような細かいルールは、注目していくところかなと思っています。
井上貴博キャスター:
確かに相続してからの話になるので、身寄りがいない方はどう対処するのか。
さらに日本としては、2011年に起きた東日本大震災のときも、土地の所有者がわからないから復興の妨げになった。災害を考えても、こういったところを減らしていくのは、国や地域にとってプラスになると思います。
歴史時代小説家 今村さん:
生前贈与でなくとも、終活という言葉があるように「この土地を受け継いでもどうしようもない」というものは、あらかじめ親世代が国庫に入れることができるのであれば、さらに広がると思います。