HILLTOP前副社長の山本昌作氏は90年代から職人技のデータ化に取り組んできた。

HILLTOP 前副社長 山本昌作氏:
日本は今までの“職人”という言葉が災いして、なんとなく自分の技術を自分だけのものにしてみんなで共有することをしない。ここを早く直さないと日本の製造業はまずいことになります。本物の職人とにわか職人があります。本物の職人は自分がやっていることよりも別のことをしたいので、今やっていることを次の人たちを教えたいのです。自分のキャパを空けたいのが本物の職人です。にわか職人は自分の仕事を守りたい。日本はほとんどがにわか職人で埋まっていたので、自分の保身しか考えていない人たち。これが一番大きな問題です。
会社には年間2000人もの見学者が訪れる。その多くが社員の生産性の高さに関心を寄せている。ヒルトップの利益率は業界平均を大きく超える20%以上だ。
HILLTOP 山本昌作氏:
儲かる儲からないではなくて自分たちに今ない技術にトライすることが重要です。それをやるとお金では残らないかもわからないが、人と技術が残る。

HILLTOPの前身は1961年に昌作氏の父親が創業した鉄工所だ。自動車メーカーの孫請けとして油にまみれ、日々繰り返す単純作業に辟易としていた昌作氏は全ての下請け仕事をやめ、量産から多品種単品に切り替えた。結果的に売り上げの8割を失ったという。
HILLTOP 山本昌作氏:
簡単に言うと「邪魔くさい」と言っているものをそのまま放っておいたらいけないのです。人間は放っておくと邪魔くさいに支配されるのです。邪魔くさいと思う時というのは何回かやっています。これはルーティンです。「邪魔くさいなあ」と思うものを放っておいたら「仕方がないなあ」になる。ここで潰さないと人間は邪魔くさいに支配されます。ほとんどの社員、企業も今の現業に甘んじてしまうことになると思います。いつも変えていかないといけません。